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気分を変えたくてシャワーを浴びていると携帯の着信音が聞こえる。
それを聞こえないフリしてやり過ごした。
また自分を押し殺した生活が始まる。
心の拠り所だった彼女との関係も終わった。
もはや、失うものは無いのだからと思ったら何故だか少し心が軽くなった。
シャワーから上がり、携帯の着信を確認して折り返しの電話を掛けながら帰り支度を済ませる。
マネージャー『もしもし?起きた?もう着いてるから準備できたら降りてきてね。』
「もしもし、おはようございます。はい、すぐ出ます。」
電話を切り、フロントへと急ぎ、慌ててチェックアウトを済ませているとロビーでマネージャーが待ち構えていて俺を見つけると素早く駆け寄る。
マネ「時間ないから、急いで!」
そう言って傍らにあった荷物を掴むと車へと早足で運んだ。
その後ろ姿を見ていたら昨日の出来事がフラッシュバックして、ぞわりと鳥肌が立った。
マネ「どうしたの?早く乗って?」
その声にハッとして、慌てて車に乗り込んだ。
マネ「新しい仕事決まったよ!」
「どんなですか?」
マネ「ドラマ!頑張ってね!今は何でも頑張る時期!ねっ!」
「はい、分かりました。」
頭の中にある沢山の将来のビジョンは曇ってとっくに見えなくなっていた。
帰りの車内、景色に目をやるといつも歌を歌いに行っていたあの公園が見えた。
マネ「大丈夫?お友達、辛かったわね。」
突然そんな事、何で?と思ったらパラパラと止め処なく流れる涙にやっと気が付いた。
いつから泣いていたのかもわからないけど、身を任せてそのままでいた。
彼女は今何を思っているのだろう。
あんなに酷いことをしたのに、彼女に忘れられる事はもう無いだろうと思ったらどうしてか少しだけ嬉しかった。
どんなに悪い記憶であっても彼女のどこかに存在していたかった。
「どうしようもないな、俺……クズ以下だ。」
本当はもう一度繋いで確かめたかった手の感触。
それももう、叶わぬ夢となって心の奥底に追いやられていった…
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『ねえ!ここのフリ、どうするんだっけ?』
更に月日は流れて、あれから5年も経った。
新曲の振り付けをメンバーと確認していると隣にいたメンバーの1人の宇野が俺の肩をバンバンと荒々しく叩いた。
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nikiki(プロフ) - あっ、見えない原因が多分分かりました笑 ありがとうございます (2020年4月26日 15時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - nikikiさん» コメントのお返事遅くなり申し訳ありません泣 3なのですがフラグが立ってしまいまして18歳未満は観覧出来なくなってしまいました…折角読んで頂いているのに申し訳ない次第です!18歳以上で御座いましたらそのままご覧頂けるかと思います(o^^o) (2020年4月26日 2時) (レス) id: 97f9b005f0 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 失礼ですが、どこで3を読めるですか?続きすごく気になります!ありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 初めまして、ストーリー見つけてハマっちゃって一気1と2も読みました。2人の恋、大人になって生活環境変わっても変わらずで居るのに、互いに届けてなくてこっちまで胸ギュッて悲しくなりました。素敵なストーリーありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - てんさん» こんなノロノロ更新に飽きずに見て下さってありがとうございます!何だか手違いで書いたものが消えたりとトラブってました汗)恋って楽しいけど苦しいですよね。2人がどんな選択をするのかたのしみにしていて下さい(^人^) (2019年7月1日 0時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ika2424 | 作成日時:2019年4月7日 8時