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窮屈な2人きりの時間は重苦しくのしかかる。
吉岡「西島はAの事、何とも思ってないよな…?」
「俺、学校辞めるんだ。」
吉岡「え…?」
質問には答えず、言うはずのなかった事をつい口走っていた。
「聞かなかった事にしてくれる?吉岡にしか話してないから。」
吉岡「なんで辞めるんだよ…」
「上京する。歌手になるんだ。二学期終わったら俺はもう居なくなるの。だから吉岡の心配は無くなるわけ笑」
黙ったままの吉岡の肩をバシッと叩くと、ハッとした顔を上げて
吉岡「もう、決まった事…なんだよな…?」
と、寂しそうに呟いた。
「俺は夢の為に頑張って来たのよ。だから恋愛にうつつを抜かしてる暇はないの笑 Aちゃんの事もそう。安心した?」
自分に言い聞かせる様に言った。
吉岡「俺…何にも知らないで…。すまん。でも、スゲェな!たしかにオマエならやれる気がするわ笑 西島なら…とんでもなくスゲェヤツになりそうだ。」
興奮気味に吉岡はそう言ってまるで自分のことの様に喜んでくれた。
吉岡「俺、死ぬまでオマエのこと、応援するから!」
これが吉岡がくれた最後の言葉になった…
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数日後。
これがラストチャンスだろうと思っていつもより早く家を出た。
この冬一番の寒さですってニュースの通り今日は特別寒くて、無駄に厚着をして出て来たのは正解だった。
駅に着いて深呼吸をした。吐く息が白くて幻想的で、一瞬これは夢かと見間違う程だった。
一歩一歩ホームに踏み込んで彼女を探す。
約束も何もしていないけれど、絶対に居ると確信があった。
遠くのベンチでひとり小さく屈んで座る目的の彼女の姿が見えて、胸が一気に高鳴る。
「俺、緊張してる?笑」
この感情の答えは追求はしない。彼女に会うのはこれが最後になるかもしれないから。
必死に足をさすりながら、電光掲示板をじっと見つめる彼女の隣に突然どかっと座り込むと目を丸くしてこちらに顔が向いた。
A「に、西島くん…。おはよう。」
顔は見なかった。話すだけ話したら帰るつもりでいたから。
「おはよう、Aちゃん。」
誰かの名前を呼ぶのがくすぐったいなんて初めてだ。
A「早いですね。何かあるんですか?今日。」
彼女の声は俺を惑わす。
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nikiki(プロフ) - あっ、見えない原因が多分分かりました笑 ありがとうございます (2020年4月26日 15時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - nikikiさん» コメントのお返事遅くなり申し訳ありません泣 3なのですがフラグが立ってしまいまして18歳未満は観覧出来なくなってしまいました…折角読んで頂いているのに申し訳ない次第です!18歳以上で御座いましたらそのままご覧頂けるかと思います(o^^o) (2020年4月26日 2時) (レス) id: 97f9b005f0 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 失礼ですが、どこで3を読めるですか?続きすごく気になります!ありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 初めまして、ストーリー見つけてハマっちゃって一気1と2も読みました。2人の恋、大人になって生活環境変わっても変わらずで居るのに、互いに届けてなくてこっちまで胸ギュッて悲しくなりました。素敵なストーリーありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - てんさん» こんなノロノロ更新に飽きずに見て下さってありがとうございます!何だか手違いで書いたものが消えたりとトラブってました汗)恋って楽しいけど苦しいですよね。2人がどんな選択をするのかたのしみにしていて下さい(^人^) (2019年7月1日 0時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ika2424 | 作成日時:2019年4月7日 8時