15 ページ15
.
学校に着くや否や、そそくさと家政科の校舎へ向かう彼女を呼び止めた。
「ねぇ！ こっち！」
手招きしてんのに、一向にこちらに来ない彼女に
「来ーて？笑」
ちょっと大袈裟にもう一度手招きしたらやっとゆっくりこちらに足を向けた。
てか、こんな思いすんのは初めてで…
嫌な言い方だけどこんなにも思い通りにならない子は今まで居なかったから、どうして良いのかサッパリ分からなかった。
…でもそれが逆に新鮮で、予想もつかない展開にワクワクしてたりするんだけど笑
それにしても終始不安げな表情で助けを求めてる様に見えるのに、何故だかちっとも目は合わなくって…
なんてゆーか、兎に角…調子が狂う。
ゆっくりと俺の前まで来て立ち尽くす彼女の膝はまだ痛々しくて、とりあえず保健室まで連れて行く事にした。
足を庇うように歩く彼女に合わせて、スピードを少し落としたらすぐに気付かれて
彼女「ありがとう。」
って少し照れ臭そうに呟かれる。
一気に恥ずかしくなってそれを聞こえないフリすると、誤魔化すように保健室の扉を叩いた。
コンコン…
『はい！』
事務的な先生の声で現実に引き戻される。
「朝、電車降りた時この子にぶつかっちゃって転ばしちゃったんすよ。だから遅刻させちゃって。膝も怪我してるから消毒したげて？」
これで彼女の遅刻の不安も幾分かなくなるだろう。そう思ったらなんだかホッとして自然と笑みがこぼれた。
養護教諭「そうなの！大丈夫？キミはもう教室に戻りなさい。」
申し訳なさそうに…またそんな顔して、俺の心配でもしてんだろう。思わず我慢できずニヤけてしまう。
そんな彼女の目線が名残惜しいけど、クルッと方向転換して、ドアを開けると
…帰り際に彼女の名前を呼んだ。
『怪我させちゃってゴメンね？Aちゃん。』
昔から知ってるみたいに呼んだのは釣れないキミへのちょっとした当て付け。
明らかに驚いた彼女の顔を胸に焼き付けて保健室を出ると、さっき貰ったココアの缶を開けてゴクリとひとくち飲んだ。
「甘っ……笑」
無駄に甘いそれがまた彼女らしくて可笑しくて、ぎゅっと缶を握りしめて教室まで小走りで向かった。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 327人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
nikiki(プロフ) - あっ、見えない原因が多分分かりました笑 ありがとうございます (2020年4月26日 15時) (
レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - nikikiさん» コメントのお返事遅くなり申し訳ありません泣 3なのですがフラグが立ってしまいまして１８歳未満は観覧出来なくなってしまいました…折角読んで頂いているのに申し訳ない次第です！18歳以上で御座いましたらそのままご覧頂けるかと思います(o^^o) (2020年4月26日 2時) (レス) id: 97f9b005f0 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 失礼ですが、どこで3を読めるですか？続きすごく気になります！ありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 初めまして、ストーリー見つけてハマっちゃって一気1と2も読みました。2人の恋、大人になって生活環境変わっても変わらずで居るのに、互いに届けてなくてこっちまで胸ギュッて悲しくなりました。素敵なストーリーありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - てんさん» こんなノロノロ更新に飽きずに見て下さってありがとうございます！何だか手違いで書いたものが消えたりとトラブってました汗）恋って楽しいけど苦しいですよね。2人がどんな選択をするのかたのしみにしていて下さい（^人^） (2019年7月1日 0時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ika2424 | 作成日時：2019年4月7日 8時
