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2、3歩後ろをついて歩く彼女を気にかけながら気付かれない様に歩幅を狭める。
さっきからずっと俯いて歩いているから咄嗟に声をかけてみたらどんな反応するのか試したくなって
「なんか、下に落ちてるの?」
ちょっとだけ意地悪をした。
その言葉にみるみる顔を赤くして慌てて顔を上げる
のを見て、恥ずかしいんだなって…そう思ったら可愛くって
「うん、ちゃんと前見てないとまた転んじゃうよ?笑」
って笑ったら、また恥ずかしそうに目を泳がせた。
その後に訪れた静寂。
でも不思議と彼女との間に流れる沈黙は嫌じゃなかった。
解れた空気の中、何も喋らず歩くだけでも妙に満足していたけれど、彼女の気持ちは違ったようで
彼女「寒いですね。」
取ってつけたようなセリフを投げかけてきた。
「そうだねぇ〜。」
様子を伺う様に返すと
あわあわと会話を繋げようと必死になる彼女の姿にふきだしそうになり、口元に力を込めた。
彼女「うちの学校の生徒、全然居ないですね、今日。」
そういえば…と、次はあたりを見回して、ちょっとだけ不安げな表情を見せるとポツリと呟いた。
「駅でゴタゴタしてたからね俺たち。出遅れたんだよ。」
今こうやってゆっくり歩いてる時点で遅刻はもう確定だろう。
それに気付いてない彼女にまた悪戯心がむくむくと湧き上がる。
携帯を覗き込むと「ああーっ!!遅刻っ!!」と慌てふためいて、バタバタと右往左往すると
「走りますか?!」
と、こちらを見た。その顔は完全に助けを求めていて
その子供のような目にぞくぞくと男心をくすぐられた。
「えぇ?やだよ!遅刻でいいよ。」
もう少し一緒にいて、コロコロ変わる彼女の表情を見ていたい…
早く行こうと慌てる彼女をよそに、自販機に小銭を突っ込んだ。
「たまにはいいじゃん?キミ、真面目そうだからたまには息抜きに遅刻してみなよ。」
さっきから寒そうに首をすくませている彼女にホットの缶コーヒーを差し出しすとゆっくりそれを受り、また俯いてしまう。
「1日くらい遅刻したって怒られたりしないって!俺が保証する!」
もうひと押し!
気が付けば必死に彼女を繋ぎとめていた。
彼女「…わかりました。」
観念したように縦に頷いた彼女に、大きく心でガッツポーズをした。
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nikiki(プロフ) - あっ、見えない原因が多分分かりました笑 ありがとうございます (2020年4月26日 15時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - nikikiさん» コメントのお返事遅くなり申し訳ありません泣 3なのですがフラグが立ってしまいまして18歳未満は観覧出来なくなってしまいました…折角読んで頂いているのに申し訳ない次第です!18歳以上で御座いましたらそのままご覧頂けるかと思います(o^^o) (2020年4月26日 2時) (レス) id: 97f9b005f0 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 失礼ですが、どこで3を読めるですか?続きすごく気になります!ありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 初めまして、ストーリー見つけてハマっちゃって一気1と2も読みました。2人の恋、大人になって生活環境変わっても変わらずで居るのに、互いに届けてなくてこっちまで胸ギュッて悲しくなりました。素敵なストーリーありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - てんさん» こんなノロノロ更新に飽きずに見て下さってありがとうございます!何だか手違いで書いたものが消えたりとトラブってました汗)恋って楽しいけど苦しいですよね。2人がどんな選択をするのかたのしみにしていて下さい(^人^) (2019年7月1日 0時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ika2424 | 作成日時:2019年4月7日 8時