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ゆっくりと上がる彼女の顔は何故だか少しにこやかで
その意味がこれっぽっちもわからない俺はきっと随分と無愛想な顔してたことだろう。
ポカンと口を開けて俺を見つめる彼女に何故だか少し照れて、見透かされないように座り込むと周りに散乱した彼女の私物を拾い集め、鞄に収めた。
彼女「あ、ありがとう。」
そう言って鞄を受け取ろうとする彼女の膝に目をやると、転んだ拍子に擦りむいた傷から出血してるのが見えた。
それをハンカチでそっと押さえてやりながら彼女をチラッと見ると、申し訳なさそうな顔で俺の行為から逃れようとする。
「痛いでしょう?どうして笑ってやり過ごそうとすんの?」
酷い事をされたのに朗らかな顔を浮かべてる彼女が居た堪れなくなって聞いた。
「あのっ、ハンカチ汚れるから…もう大丈夫です…。」
それなのに、質問に答えずにハンカチの心配なんかするなよ…
膝に添えた手をどけようとする彼女の手に触れそうになってハッとする。
「いいから!」
さっきより強く言葉で制止した。
諦めたようにされるがままになった彼女に
「立てる?」
と、次は目一杯優しく手を差し出した。でも彼女は
「あのっ、大丈夫なんで!ありがとうございます。友達待ってますよね?もう行ってください。」
そう言ってまるでその手が見えないかのように自ら立ち上がろうとする。
この瞬間…花火大会の事が頭をよぎった。
吉岡とあんなに躊躇なく手を繋いでいたキミ…
俺はムキになって彼女の手首をぎゅっと掴んで起こすともう一度聞いた。
「だからなんで笑ってやり過ごそうとすんのって。」
本心をひた隠しにしてる彼女の心が誰にも気付かれずに過ぎていくのはあまりに悲しい。
無意識に強くなっていた言葉に気付かず、
「ごめんなさい…。」
今にも泣き出しそうに絞り出された彼女の言葉で気が付いて、すぐさま後悔した。
「あ、いや。そんなつもりじゃなかったんだけど…。」
一向に返って来ない言葉に動揺が止まらない。もうここまで来たらどう転んでもいいや笑
「…ツレ、先に行ったから学校まで一緒に行かない?」
彼女「……」
誘われるばっかで誘い慣れてないから当然引き方も分かるわけもなく…
「1人で行くの寂しいからさ。人助けだとおもって?」
更に追い討ちをかけた。
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nikiki(プロフ) - あっ、見えない原因が多分分かりました笑 ありがとうございます (2020年4月26日 15時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - nikikiさん» コメントのお返事遅くなり申し訳ありません泣 3なのですがフラグが立ってしまいまして18歳未満は観覧出来なくなってしまいました…折角読んで頂いているのに申し訳ない次第です!18歳以上で御座いましたらそのままご覧頂けるかと思います(o^^o) (2020年4月26日 2時) (レス) id: 97f9b005f0 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 失礼ですが、どこで3を読めるですか?続きすごく気になります!ありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
nikiki(プロフ) - 初めまして、ストーリー見つけてハマっちゃって一気1と2も読みました。2人の恋、大人になって生活環境変わっても変わらずで居るのに、互いに届けてなくてこっちまで胸ギュッて悲しくなりました。素敵なストーリーありがとうございます。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: f8ae1d9c82 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - てんさん» こんなノロノロ更新に飽きずに見て下さってありがとうございます!何だか手違いで書いたものが消えたりとトラブってました汗)恋って楽しいけど苦しいですよね。2人がどんな選択をするのかたのしみにしていて下さい(^人^) (2019年7月1日 0時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ika2424 | 作成日時:2019年4月7日 8時