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暫くして、止まる車両。
開いた扉の音と同時に賑やかな声が聞こえて、昨日と同じメンバーが慌ただしく彼の両脇を陣取った。
そして、昨日と同じように"ニシジマくん"は漫画を鞄に収めて彼らの話に耳を傾けていた。
優しい人なんだろう。彼は終始聞き役で、ぽんぽんと話題が飛ぶ両脇の友達の話を遮る事なく、ただ静かに笑顔でそれを聞いていた。
友人「なあ、今日はどうすんの?」
ニシジマくん「うーん、今日はパス!」
友人「じゃあまた来週か!」
ニシジマくん「そだね〜。」
目を閉じて耳だけそちらに集中させた。
すると突然1人の友人が、
友人「あれ?同じ学校の子だね、その子も。」
背中に冷や汗が流れた。このまま寝たふりでやり過ごそう。
話題が逸れるのをひたすら願った。
ニシジマくん「そうみたいね?見た事無いけど。」
彼らの注目を浴びている事に心臓はバクバクと高鳴り、緊張から手の平は汗でびっしょりだった。
ニシジマ「それよりさ、これ!聴いてみ?」
友人「何?なんの曲?」
話が逸れて一気に緊張の糸が切れた。こんな思いをするくらいなら電車の時間をずらそうと強く強く心に決めた。
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待ちに待った夏休み。
宿題の課題に時間を忘れ、気が付けば朝7時から今の時刻の夕方5時までまともに何も食べずに集中していたようだ。
流石に空腹に耐え切れず、一階に降りるとキッチンへ直行した。
菓子パンを見つけ、それを貪っていると愛犬のチワワのグリが駆け寄ってくる。
「あげないよー、これはダメっ!」
ぴょんぴょんと飛びかかってくるグリに、近くにあった犬用のビスケットをひとつ投げた。
「美味しい?グリ。」
バリバリと心地いい音を立ててそれを食べるグリを見つめていると、洗濯物をしまいながら母に
「A、キリがついたならグリの散歩行ってきて頂戴!」
と言われ、
「うん、分かった。」
と返事した。
散歩というフレーズに大興奮のグリに、
「行こっか!」
と、声を掛けてリードを繋ぐ。
外は夕方だと言うのにじっとりと暑かった。.
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Ika2424(プロフ) - てんさん» コメントありがとうございます!2の方ですよね?まだ一話もかけていない状態でして(TT)一話書き終わり次第すぐに全体公開致しますので今しばらくお待ちください(>_<) (2019年4月7日 15時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
てん - いつも楽しみにしています。恋愛写真のパスワードってどうすればいんですか? (2019年4月7日 13時) (レス) id: 3758975c70 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - ふみさん» 心をチクチク刺激する展開ですが、ワクワクしてもらえたらこれ幸いです笑 恋って…難しいですねぇ〜。 (2019年3月23日 23時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
ふみ(プロフ) - 心が痛くなるねぇ……この展開。少なからず恋心があったんだろうに…… (2019年3月23日 21時) (レス) id: 017350f460 (このIDを非表示/違反報告)
Ika2424(プロフ) - 楽しみコメント嬉しい限りですーっ(o^^o)コツコツ進めますっ☆ (2019年3月23日 18時) (レス) id: 832d371e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Ika2424 | 作成日時:2019年3月3日 0時