あなたとわたし

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完全に彼のペースで、私はなす術も無かった。







泣き腫らした目を見て更に笑う西島さん。






西島「美月ちゃんはさぁ、ギャップ萌えかなんかを狙ってんの？笑」







そう言って狭い車内で足をバタバタ鳴らして笑い続けた。





その姿に流石にわたしもつられて笑ってしまう。





西島「あー、久々楽しかったなー今日！」





そう言うと、改めてわたしの方を見て





西島「ねえ、腹減らない？俺、限界…」






そう言えば食べてなかったなと自分のお腹の減りを確認する。






西島「ちょっと買ってくるよ、なんかあるっしょ！」




パーキング内の店を指差して、小雨になった外に飛び出していった。







「魔法使いかなんかかな、あの人…」






そんな事を本気で思った。







西島「こんなんしかなかった。」






自販機で売ってる焼きおにぎりを２つ手にして戻ってきた彼。





西島「まっずいね笑 こんなの、久しぶりに食べたー。」







「そうですか？美味しいですけど笑」







西島「嘘だよ笑 芸能人だからっていつも良いモンばっか食ってるから不味く感じるんだろとか思ったっしょ？」






「凄いですね！全くその通りの事を思いましたよ今。」






西島「ばーか笑 腹減ってるから、めちゃくちゃ美味いっつーの！」






そう言うと軽くわたしの頭を小突いた。







この人は誰にでもこうなのだろうけど…






「西島さん！」






西島「んー？何？」






「そんなんだと、みんな勘違いしちゃいますよ？」






西島「なにを？」







「私のこと、好きなんじゃないかって！」






そう言うと、





西島「女の子はみんな西島さんの宝物だから笑笑」







と、訳の分からない事を言って言いくるめられた。








気がつけば1時を回っていて、アパートに着く頃には2時になっていた。








「今日はありがとうございました、こんなに遅くまで…」






西島「俺、こう見えて結構人気あるんだよ？一人でまあまあの人数集められちゃうくらいのね。」







またあのイジワルな笑みを浮かべてそう言うと






西島「俺の時給、目ん玉飛び出るくらい高いよ？きっと美月ちゃん、払いきれない位よ笑」






私が明らかな動揺を見せると彼ははははっと声を出して笑って、






西島「だから、借金ね！しっかり働いて返してね？」






そう言うと、わたしの頭をくしゃっと撫でてじゃあね！と帰っていった。
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