あなたとわたし

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今日は初めて担当するあるアーティストのヘアメイクの日。









元々ずっと担当されていたヘアメイクがいたらしいのだが、産休に入るとの事で臨時で頼まれたのだ。









これはよくある事なのだがとてもやりづらい。









気乗りしなかったが、とりあえず臨時という事なので承諾したが…









コンコン…









「失礼します、◯◯さんの代わりで本日ヘアメイクを担当させていただきます、田中です。」









「……どうぞ」









ぶっきらぼうな返事と中性的な声がミスマッチすぎて、不思議な感覚に陥る。









メイク台の前には、寝癖のついたままの頭でスマホに目を落とす一人の男が座っていた。









彼の名前はAAAの西島隆弘。








あまりテレビも見ない私は、彼のことは勿論の事、AAAのこともほぼ無知に等しかった。








だが、上司から話は事前に聞いていたので、ある意味彼のこの態度は想定内ではあった。









上司曰く彼はこだわりが強く、仕事にストイックで扱いにくく、簡単に心を開いたりしない…といった印象なんだとか…









だからこそ、上司はわたしにこの仕事をまわしたのだろう。









「本日はよろしくお願いします。」









改めて軽く挨拶をして彼の後ろに立つと仕事の準備に取り掛かる。









私はこの仕事が好きでたまらない。人を最大限に美しい状態に仕上げるこの仕事が。






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そして眩いスポットライトの下で負けず劣らず凛と佇む彼等を、影から満足げに見つめる自分が誇らしい。








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私にはできない事を、彼等は代わりにして私に魅せてくれる









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胸を張って、前を見据えて、光を放って…









沢山の人達からの愛をふんだんに浴びる……









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