キャンバスに滲む【枢木皐月】 ページ23
(なんの夢主か表記いらんくねと思い始めてきた今日のこの頃です。次からなくなるかも)
スランプとはこのことか。筆を止めて手を下ろす。目の前にあるモチーフは1時間前からさっぱり変わらないものの、私は未だに捉えきれていない。
「……クソっ」
私が気合を入れるのも無理はない。これは文化祭……それも、たかだか高校の美術部の私にとっては一年に一度と言っても過言ではない晴れ舞台。
同じクラスの女子たちは何やらスペシャルゲストのアイドルたちに色めきたっているようだが、私は進学がかかっているのだ。そちらに現を抜かしている場合じゃない。
苛立ちをぶつけるように乱暴に筆洗に絵筆を突っ込み、空っぽな視線をキャンバスに向けた。だらりと水を含んだマゼンタがその下のセルリアンと混ざって私の心のようにグルグルと黒くなっていく。
「……休もう。描けない。」
私はクロッキーと鉛筆だけを持って、部室を飛び出した。
何処へ行くでもなく歩いていると、体育館から音がする。ああ、ホームルームで放課後に例のスペシャルゲストさんが音合わせで来るとか何とか言ってたっけ。
私の足は自然とそちらに向かっていた。
一言で言うと、圧巻。私はその2人に目を奪われていた。
ベルの鳴るような弾ける音。
鮮やかな線を描く、二対の線。
「……描ける。これなら。」
クロッキーを開いてサラサラと線を走らす。流れるように、跳ねるように。この音を表現しないならなんのために生きてるって言うのか。
「なー睦月！さっき来たやつ、虎彦みたいにずーっと絵かいてるぜ！」
「ほんとだねー。ここの学校の人なの？」
「……おーい？聞いてんだけど？」
ふとした時にスランプから抜けるというのは本当だった。クロッキーの上で完成した絵を見て、私は驚いた。今までの私のものじゃないみたいだ。
そして、それを眺めていると目の前に虫……いや、これは虫のおもちゃ？が現れる。
「っ！？」
「あ、驚いた！いっしし！大成功だし！」
「すっごく真剣に描いてたね〜。美術部とかなの？」
見上げると、さっきまでステージの上で踊っていた2人が。
「そうです。文化祭の作品作りで。」
「へー。じゃあ本番の時も見に行ってやるし！」
「それ、俺たちモチーフなんでしょ？」
見られてたのか。少し恥ずかしくて顔に熱が集まる。
「……そうですよ。お時間あれば是非。」
「じゃ、見に行ってやるからさ。名前は？」
「AAです。今日はありがとうございました。」
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時雨(プロフ) - 返信が遅れてしまいすみません…！自己満足の塊を褒めていただけて嬉しいです！また、リクエストありがとうございます！朔空くんですね！必ず書きますのでお待ちください！ (2020年12月2日 0時) (
レス) id: d684e24860 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望 - お話読ませていただきました！とても素敵な内容ですね！よろしければリクエストで 麗 朔空くんのお話を書いていただけないでしょうか…？ご検討の方よろしくお願いいたします！ (2020年11月23日 0時) (レス) id: 3121e4924c (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - あんこ玉さん» 見て下さりありがとうございます！アイチュウの短編集少ないので書いちゃいました……！推しばっかり書いてますがリクエストも受け付けているので何かあれば気軽に言ってくださいね！ (2020年9月13日 21時) (レス) id: d684e24860 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ玉(プロフ) - わぁ、！！アイチュウの短編集だ！とっても面白いです！！更新頑張ってください！！ (2020年8月20日 3時) (レス) id: d746c6a26c (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - あいす(あづき)さん» こちらこそとんでもない自己満作品を好きと言っていただけて嬉しいです！更新頑張ります！ (2020年7月26日 19時) (レス) id: d684e24860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：時雨 | 作成日時：2020年7月22日 0時
