息抜き俺得短編集2【アイ★チュウ】

愛情大暴走【枢木睦月】 ページ19

ちょっとヤバめの睦月くんです。なんでも許せる人向け。

うちの彼氏は少しヤバい。何がやばいって、私への溺愛ぶりだ。
スキンシップはもはや習慣、キスは食事レベルで、好きや愛してるなどは挨拶だ。初めは中学の頃。罰ゲームでクラス一の美形で、ほとんど接点のなかった睦月くんに告白することになった時のこと。まあもし万が一OKされてもこの子は隣のクラスにいる弟を溺愛してるっぽいしそんなに相手にされずに別れるだろうとタカをくくっていた。
しかし睦月くんは、キョトンとした顔の後、じわりと頬を赤らめながら「俺も好きだった」と返してきた。茶化し待ちだった周りはみんなスペキャ、張本人である私は鳩がバズーカ砲を食ったような衝撃を受けていた。
……で、その衝撃的告白から2年もしないうちにこれだ。付き合った当初は弟の皐月くんにも「ようやく睦月の恋が叶って良かったし！」だのなんだの言われてたけど、半年経つと徐々に静かに、1年経つと怪訝な眼差しに、そこからまた1年……つまり今では睦月くんの私への愛情の重さという面ににやや引いてる。あのいつもはお兄ちゃん大好きな皐月くんがだ。

そしてその弟すら引く愛情とは……まあ端的に言うと過度な世話焼きだ。睦月くんは他の人にはあんなに世話焼きにならないはずだ。少なくとも私はあんなに他人にデレデレした睦月くんは皐月くんといる時くらいしか見た事ない。
でも、本当に……なんと言うか、睦月くんは度が過ぎた世話焼きなのだ。私が寒くて寝られない時はすかさずベッドに潜り込んでくる。

「寒いの？あっためてあげるね。」
「は、恥ずかしいってば！」
「えへへ♡」

またある時、私が風邪をひいた時も自分で食べられると繰り返し説得したものの食べさせようとしてきたり。

「はい、じゃあA、あーんして！」
「自分で食べられるから！大丈夫だから！」
「むぅ……じゃあ口移しの方がいい？」
「風邪うつるよ！？」

こう……この前皐月くんも言ってたけど、睦月くんは私が絡むと著しくポンコツになる。頭のネジもいつもはきっちり閉まってるくせ、私が絡むと一気にポーンと5、6本どこかに落としてくる。如何なものか……

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