つづき ページ13
皐月くんは私の肩に頭を擦り付けてくる。それが可愛くて、思わず皐月くんの頭を撫でた。そこでハッとして手を止めた。皐月くんはいつも頭を撫でたら「子供扱いすんなし!」って嫌がる。今回もきっと怒っちゃうかも。
でも、皐月くんは私が手を止めると顔を上げて、私のことを涙目で見つめてきた。
「……なんで、やめんの?もっと撫でてよ……」
「え、でもいつも怒るじゃない。」
「……っ、違うし。いつも、撫でて欲しいって思ってるし……!でも、恥ずかしくて言えないだけ!……今くらい、いいじゃん……」
私の腕を掴んで強引に撫でさせる。……ほんとに、今日の皐月くんは素直だ。
「今はさ。魔法の力借りてるわけじゃん。澪くんに、間違ってかけられたとしてもこんな魔法かけてもらってさ。……そうでもしないと素直になれねぇの。……A、オレの事嫌いになった……?」
いまの素直な皐月くんは、裏を返せば本当の心を話してくれてる皐月くん。いつもはイジワルでイタズラっ子だけど、本心はこんなにも綺麗。
「嫌いになるわけないよ。私は、皐月くんのイジワルなところも、いたずらっ子なところも好きだよ。それに、本当はすっごく優しい子だってことも知ってる。」
「A……」
皐月くんはポロポロと泣き始めた。綺麗な青緑色の目からは次々と涙が零れる。
その涙を私が拭った瞬間、キラキラとした光が皐月くんに降り注いだ。
そして、その光が消えたあと、びっくりしたような顔の皐月くんが目の前にいた。顔の赤い、ぽやっとした皐月くんじゃなくて、いつもの皐月くん。
「皐月くんっ!」
「へ……、A……?うわっ、ちょ、抱きつくなって!」
「よかったぁ……元に戻った……!」
私が安心して抱きつくと、皐月くんはびっくりしたような声を出した。そして、こう続けた。
「……素直じゃないけど、それでもいつものオレの方がいいわけ?」
「もちろん!どんな皐月くんでも皐月くんだもん!」
「……ほんっと、Aって変わってるし!」
真っ赤な顔をぷいっとそむけた皐月くんだけど、少しだけ口角が上がってた。
あの後で、澪くんから「元に戻す方法」を聞いたんだけど、元に戻す方法は「心からの親愛の涙をかかった人が流し、それを対象の人間が触れること」らしい。あの涙には、正真正銘の皐月くんの愛が籠っていたってことなんだろうな。そう考えたら、なんだか凄く嬉しいかも。
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時雨(プロフ) - 返信が遅れてしまいすみません…!自己満足の塊を褒めていただけて嬉しいです!また、リクエストありがとうございます!朔空くんですね!必ず書きますのでお待ちください! (2020年12月2日 0時) (レス) id: d684e24860 (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望 - お話読ませていただきました!とても素敵な内容ですね!よろしければリクエストで 麗 朔空くんのお話を書いていただけないでしょうか…?ご検討の方よろしくお願いいたします! (2020年11月23日 0時) (レス) id: 3121e4924c (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - あんこ玉さん» 見て下さりありがとうございます!アイチュウの短編集少ないので書いちゃいました……!推しばっかり書いてますがリクエストも受け付けているので何かあれば気軽に言ってくださいね! (2020年9月13日 21時) (レス) id: d684e24860 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ玉(プロフ) - わぁ、!!アイチュウの短編集だ!とっても面白いです!!更新頑張ってください!! (2020年8月20日 3時) (レス) id: d746c6a26c (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - あいす(あづき)さん» こちらこそとんでもない自己満作品を好きと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります! (2020年7月26日 19時) (レス) id: d684e24860 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時雨 | 作成日時:2020年7月22日 0時