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長いようで短かった講習会も無事に終了し、他校との交流もそこそこに、参加校の生徒たちを玄関の方へ流し込んでいく。
ありがとうございました、ありがとうございました、と人とすれ違う度にうわごとのように呟きながら人の流れを見送る。講習会やコンクールなど他校や関係者等第三者がいる場では慣れた挨拶の光景だが、低い声でありがとうございましたと言いながらすれ違う様は正直不気味と言えよう。


「Aちゃん、夏休み遊ぼ?」


「やったー、楽しみ。じゃあね」


「わたしも。また連絡するわ」


「僕とは遊ばんの」


「遊ぶ遊ぶ」


「約束したからな?!ほなね!」


関西圏はやはり人懐こい子が多い気がする。地元にいた頃はこんなやりとりした記憶がない、
講習会を通して仲良くなった子たちともハイタッチなりロータッチなりしながらすれ違い、あとはまたありがとうございましたと繰り返し。
やがて最後尾の生徒が通り過ぎ、講師陣もあれこれ言いながら軽く手をあげて行くと、しんと沈黙が訪れた。


「……はい、各自手筈通り片付けに入って」


部長の合図でザッと散る。

時刻は四時を過ぎた頃。この様子だと普段の部活よりよほど早い解散になりそうだった。
あれほど(わりと)渋ったクラスの集まりへの参加も、今となってはやや楽しみになっており、おそらく部活参加組以外はわいわいがやがやしているのだろうと想像して口元がゆるんだ。


使用した各特別教室の簡単な片付けと現状復帰をしたら軽くミーティングをして解散である。
しっかりめのミーティングは講習会の時間内にパートごとに済ませているので長くはならない。

並べられた椅子を二つ手に持ち上げようとしたとき、屈んだ体制をしている私に不意に影が落ちた。


「文月先輩、」


何かを言い淀むように、言葉を飲み込んだような沈黙が続く。俯きがちに眉を顰め、きゅ、と唇を結んだ彼女は、居心地悪そうに視線を泳がせた。


「どうしたの?」


持ち上げようとした椅子を一度置き、自分の出しうる限り一番優しい声で、覗き込む。


「……部活終わったらにしよっか?」


「……はい。すみません」


「謝ることないよ。ほら、あんまり唇噛むと痛いから」


瞳にはじわりと涙の膜を張っていた。


「あ、すみません先輩、面白いの一発ドカンと頼みます」


「エ?あ、レタスが採れたッス!」


「面白いです」


「文月、気遣いがつらいときもあるんや」


一般通過超面白先輩、でも後輩は笑ってます。




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エコ - かなけんさん» 感想ありがとうございます。メチャクチャに嬉しいのですが、この感動を言葉に表すに足る語彙力がないので、うまく伝えられなくて申し訳ないですが、本当に本当に嬉しいです。スクショしてにやにやするぐらいです。遅筆ではありますが、これからもよろしくお願いします。 (2022年3月28日 23時) (レス) id: 3464e68ae3 (このIDを非表示/違反報告)
かなけん(プロフ) - めっちゃ好きです!!毎回更新されるの楽しみすぎます!!💞 (2022年3月27日 22時) (レス) @page19 id: 4ee55b59ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:エコ | 作成日時:2022年3月13日 23時

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