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意図せず身体の中心からじわ、と湧いて出た熱は、暑さのせいか、端正な顔立ちを前にしているからか、……もしくは。
「あ、……」
なんて、言えば。
迷うようにはく、はく、と数度言葉を探し彷徨い動く私の唇からは、適切な対応を知らないままに声にならない息だけが漏れた。
「えっ、と」
ようやく固まった身体を動かしてどうにか視線を落とし、その場を繋ぐだけの呟きが口の端からこぼれおちる。
セミの声と、キュッキュッと小気味よい高い音だけをいっぱいいっぱいの頭の隅で感じている。
ぐるぐる巡るだけの思考回路は、きっと言葉を絞り出せていた。けれどそれは宮くんのことを傷つけてしまうもので。私は自分の体裁を守りたくて、その我が身可愛さに最低な言葉を口にするのを、すんでで理性が押し殺していた。
『きっとみんな喜ぶよ』って。おそらく女子との関係で今まで散々苦労しているだろう宮くんにとって、嫌だろう言葉を。
「そ、……」
「クソサム！休憩終わりや！！はよ来い！！」
そっか、と普通に無難な意味のない相槌を口にしようとしていた私の声は体育館方面からの叫びに掻き消された。
それに続くように頭上からは宮くんのチッ、という小さな舌打ちが聞こえる。
声の方を見ると、上半身だけ迫り出した宮侑くんが怒ったような表情でこちらを見ている。
それがなんだか敵意丸出しに吠えるわんこみたいで、私は思わず笑ってしまった。
「何の笑い？」
「わんこみたいだなって思って。面白くて」
「いやー、さすがに犬に失礼やろ」
私が肩を震わせて笑うと、宮くんも少しだけ笑った。つま先を合わせるように向き合っていた足は自然と各々の練習場所に向かっていく。
「じゃあ。部活がんばって」
「文月さんも。具合悪いんやったら無理せんで」
「うん。ありがとう」
お互いに軽く手を上げて解散する。
振り返ると、宮くんは肩口にパンチをお見舞いされていたが、バシッと頭を叩き返していた。強かだなぁと思いつつ、私は終わりかけの休憩時間に追われるように早足に特別教室棟に戻る。
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「おかえりなさい先輩。あ、さっきより顔色よくなりましたね」
「ただいま。顔洗ったからかな。スッキリした」
「よかったです。でも、無理しないでくださいね」
「お、そこの後輩ズ。昼休み、先生がアイス買ってきてくれるらしいで。暑いからって」
「えっ、やった！」「ワー！アイス！」
「二倍の時間かけて歯磨けよ」
「はい！」
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エコ - かなけんさん» 感想ありがとうございます。メチャクチャに嬉しいのですが、この感動を言葉に表すに足る語彙力がないので、うまく伝えられなくて申し訳ないですが、本当に本当に嬉しいです。スクショしてにやにやするぐらいです。遅筆ではありますが、これからもよろしくお願いします。 (2022年3月28日 23時) (
レス) id: 3464e68ae3 (このIDを非表示/違反報告)
かなけん(プロフ) - めっちゃ好きです！！毎回更新されるの楽しみすぎます！！💞 (2022年3月27日 22時) (レス) @page19 id: 4ee55b59ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エコ | 作成日時：2022年3月13日 23時
