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「テスト返します、名簿順に取りに来てください」
私が『嫌いな言葉は何？』と尋ねられたなら、絶対これだと答えるだろう。
ざわつく教室内の中、名簿で一番早い子が立ち上がった。
は行である文月の苗字は名簿の中でもじゅうぶん遅い方に含まれる。
つまりテストが返却されるまで時間がかかり、私はその間結果にはしゃいだり落ち込んだりするクラスメイトの声を聞きながら徐々に膨らんでいく不安を抱えてジッと待つことしかできないわけだ。
「見たことない顔しとるけど」
「私どんな顔してる？」
「え怖っ。破裂直前かも」
「ハリセンボンハーフ？」
「わりかし的確やん」
川村くんはどちらかと言うと前半のほう。私と話すのもそこそこに立ち上がって先生の方は向かっていった。
彼の背中を見送りその様子を眺めていると、テストの答案を受け取るなり、あからさまに喜びの表情を見せる。(席に戻ってくる最中、友人らしい男子に背中やら腰やら脇腹やら好き勝手小突かれていた)
「人生史上一番ええ点数やった」
「おめでとう。彼女と勉強会した成果かな？」
「うっさいわ。……でも、教えてもらったのに何個か間違えてもうたな」
「正解もたくさんあるんでしょ。彼女様様じゃん」
「まあな、堂々自慢したるわ！」
彼はしょんぼりから一転、さわやかな笑顔を浮かべた。
私含めて川村くんの席あたり一帯の人たちは、そのキラキラ光り輝く恋人パワーの、あまりの眩しさに目を細める。ウッ、視界が霞む。
ちなみに川村くんのカップル勉強会騒動はインスタを通して知った。川村くんの彼女はどうやら他校の子らしいのだが、その子とほづみんが相互フォローで、後はお察し。青春に飢えた噂好きスピーカーお兄さんことほづみんにかかれば話が広がるのはあっという間である。
「仲良きことは素晴らしきかな」
「え？この一瞬で歳とった？」
そこでテスト返却の順番がついに訪れたであろう後ろの席……角名くんが立ち上がる音がした。
「さ、文月さん、ここで一句」
「詠むかぁ……」
「ノリノリやん」
彼が教卓へ向かうため私の席の横を通り過ぎたとき、ものすごい無茶振りが私に降りかかった。
そこには困惑する間すらもなく、私は咄嗟に浮かぶ言葉をとにかく指折り数える。最悪字数さえ合ってればいい。
「カップルが あまりにまぶしく 目が潰れ」
「凄惨すぎるやろ」
「良い句だね」
川村くんと角名くんの評価は対照的だった。なにこれ？
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エコ - かなけんさん» 感想ありがとうございます。メチャクチャに嬉しいのですが、この感動を言葉に表すに足る語彙力がないので、うまく伝えられなくて申し訳ないですが、本当に本当に嬉しいです。スクショしてにやにやするぐらいです。遅筆ではありますが、これからもよろしくお願いします。 (2022年3月28日 23時) (
レス) id: 3464e68ae3 (このIDを非表示/違反報告)
かなけん(プロフ) - めっちゃ好きです！！毎回更新されるの楽しみすぎます！！💞 (2022年3月27日 22時) (レス) @page19 id: 4ee55b59ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エコ | 作成日時：2022年3月13日 23時
