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授業終了のチャイムが鳴り響く。
それまで張り詰めていた空気が、先生の「ペンを置きなさい」の言葉でスッと引いていくのを感じた。
今日の四限終わりはすなわち、予定されていた試験全てが無事に終了したことを示している。
試験さえ終わってしまえば、残る夏休みまでの期間は惰性で乗り切れる。
試験用紙を集める中、みんなのざわめきが広がっていき、私も脱力して雪崩れ込むように机に突っ伏した。
放課後入ってすぐに職員会議があるためにHRはなし。つまり久方ぶりの部活の時間である。
筆記用具を簡単にまとめてペンケースに入れると、一刻も早く部活に行きたい思いでかばんを引っ掴んで立ち上がった。
教室の、少し離れたところから和がひらひらと手を振る。私は彼女に手を振り返し、早々に教室を後にする––––はずだった。
ぐんっと後ろに引っ張られる感覚。
「えっ」
バランスを崩してふらりと後ろに倒れかかる。
……が、予想していた痛みはいつまで経ってもやってこない。代わりに後頭部に暖かいものが当たっていた。
「文月、待て」
「わ、ワン」
見上げるとほづみんが笑って私を見下ろしている。あの暖かい感触は彼の胸板であった。
咄嗟にワンと返事してしまったものの、セクハラと訴えられる前に慌てて体勢を変え、掴まれた襟首で乱れた身だしなみを軽く整える。
咳払いをひとつ挟んだ後、改めて「なに？」と言い直す。
「夏休みクラスで集まるって話覚えとる？」
「うん。カラオケかボーリングか行くんだっけ」
「よろしい。で、行く？返事ないのまだ何人かおんねん」
「私、部活あるんだよね」
「忘れたんか、部活あるやつらは終わってから合流な」
「そうだっけ」
ほづみんは呆れた顔になって、それから「お前案外ぽやっとしとるな」と付け加えた。一言余計だ。
その、クラスで云々の予定は試験前に出た話だった。試験期間中もグループメッセージの方で少しずつ詳細が決まっていて、大抵の人が参加するとか。
「ごめん、ちょっと保留でいい？」
「お前はよ部活行きたいだけやろ。ま、暇やったら来いよ、文月おらんとつまらんのやから」
ズンと肩に重くなった。ほづみんが私の肩に肘を乗せて寄りかかっているのである。身体の重心がそちらに傾いてよろけた。
「やめて、左だけ撫で肩になる」
「景気ええやん」
「右肩上がり物理はさすがに嫌だよ」
「でもめでたいし」
「一体何がそんなに景気に執着させるのかなぁ」
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エコ - かなけんさん» 感想ありがとうございます。メチャクチャに嬉しいのですが、この感動を言葉に表すに足る語彙力がないので、うまく伝えられなくて申し訳ないですが、本当に本当に嬉しいです。スクショしてにやにやするぐらいです。遅筆ではありますが、これからもよろしくお願いします。 (2022年3月28日 23時) (
レス) id: 3464e68ae3 (このIDを非表示/違反報告)
かなけん(プロフ) - めっちゃ好きです！！毎回更新されるの楽しみすぎます！！💞 (2022年3月27日 22時) (レス) @page19 id: 4ee55b59ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エコ | 作成日時：2022年3月13日 23時
