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「ね、文月さん。聞きたいことあるんやけど」
正直「げ」と思うの半分、「来たか」と思うのが半分だった。
友だちを二、三人連れ立って私に声をかけてきたのはいわゆるクラスの中心的な女子グループの子たちである。
あくまで気軽な仕草で私の机に手をついて笑っているものの、その声色に微かなさかむけを感じる。
毛羽立った棘のような発音が鼓膜に刺さり、宮くんの言動が杞憂でなかったことをついぞ実感した。
「なに？」
「いやさ、今日の朝、治君と登校しとったんやってね。何の話をしてたんかなぁって。参考にな」
予想してたよりは幾分か柔らかい言葉遣いが、(安心というのも語弊がありそうだが)ストンと突っ掛かりなく落ちる。
ここが教室ということ、クラスメイトの間柄、和の友だち、それらが彼女らに理性を自覚させたんだろう。
なんとなくだけど、宮双子の人気っていうのは、みんなが横一線を意識して牽制し合っているように思う。その距離感が双子にとって比較的居心地が
だから、自分を押し出さない分、どちらかと言うと水面下の粘っこいアレコレが多い。
実際私に笑いかける眼前の彼女らは、今朝宮侑くんに話しかけていた先輩たちのことを嫌っているそうだ。
そして、私は今その先輩たちと同じ崖っぷちに追い込まれているわけである。なんとも悲しい話だけど。
「同じドキュメンタリードラマ観てるから、その感想とか次回の予想とかだよ」
「あー今なんか流行っとるやつ？」
「流行ってるのかな？わからないけど、これだよ」
私はスマホを開き、その一場面をスクショした画像を見せた。
彼女たちはそれを覗き込むと、なんとなく納得したような言葉を口々に囁き、顔を見合わせる。
「これ観たことある？」
「いや。治くんこれ観てるんや」
「うん。これなら全話無料だよ。今からでも間に合うと思う」
「ふーん」
懐疑的な視線。私とスマホを交互に観察するようにしていた彼女は、眉ひとつ動かさずに興味なさげな低い声で相槌をした。
彼女たちが私のことを打つべき杭なのか判断し兼ねているうちに、そういうつもりのないことを理解してもらわなくてはならない。
表でどんなに当たり障りなく笑いかけていても、その実脳をフル回転させ、慎重に言葉を選ぶ。
それは、ひどく神経をすり減らす感じがした。きゅうきゅうとお腹の奥が締め付けられ、思わず手に力が入った。
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エコ - かなけんさん» 感想ありがとうございます。メチャクチャに嬉しいのですが、この感動を言葉に表すに足る語彙力がないので、うまく伝えられなくて申し訳ないですが、本当に本当に嬉しいです。スクショしてにやにやするぐらいです。遅筆ではありますが、これからもよろしくお願いします。 (2022年3月28日 23時) (
レス) id: 3464e68ae3 (このIDを非表示/違反報告)
かなけん(プロフ) - めっちゃ好きです！！毎回更新されるの楽しみすぎます！！💞 (2022年3月27日 22時) (レス) @page19 id: 4ee55b59ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エコ | 作成日時：2022年3月13日 23時
