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女子たちの刺さる視線を感じながら、並んで世間話をしているうち、気付くと学校に着いていた。のんびりしていたおかげで生徒玄関にある人影はまばらである。
下駄箱で靴を履き替え、教室へ向かう階段の方へ足を向けた。
しかし、宮くんがいない。何だろうと振り返ってみると、少し離れた掲示板のあたりで立ち止まっていた。
「先行っといて」
言葉そのものを躊躇うような声色と表情。それを言わせてしまうのは、きっと誰のせいでもないのだけど、それでも心に陰が差すように気持ちが傾いた。
「あ、そっか。……気遣わせちゃってごめんね」
「や。一応な。っていうか、こっちのセリフやし」
「あはは、でも、宮くんと話すの本当に楽しかった。今度は私から声かけてもいい？」
「もちろんええよ。楽しみにしとく」
友だちって難しいんだ、って。私は宮くんと接する度に思い出す。
宮くん自身がどうこうという事情なんかを差し置いても、それでも私の根っこにあって、日々に紛れていつの間にか忘れていってしまう対人関係の難渋さを酷く強く自覚した。
私は、私が思う友だちを友だちとする。相手が私を友だちと思っていなくても、私にとって友だちなら友だちだと思う。
いちいち「私たち友だち？」なんて確認するようなことはもうしないのだから、お互いの合意があってから友だちなんて線引きは無駄な気兼ねな気がする。
それでも。
「じゃあ、お先。遅れないようにね」
……迷うことがある。
なんとも言えない表情で私のことを見送る宮くんとジリジリ距離を取っていく。
「おー」
考えすぎることも、言葉を飲み込んで言えないことも、笑って誤魔化すことも。きっと全部私の悪い癖なんだって思う。
こうして、ぐだぐだ反省会開いて、堂々巡りを続けることだって良くないんだってわかっていた。
足音が寂しく反響している。
……それでも宮くんに近付くたび、周囲の反応を窺うたびに。いつかの嫌な出来事が脳裏を掠める。いつまで経っても、滲んで、ぐじゅぐじゅのまま治らない傷のこと。
だから怖かった。
宮くんが具体性を持った目的なしに接触したことじゃない。
女子に監視みたいに見られることじゃない。
からかわれることでもない。
冗談混じりに半ば脅しの牽制をされることだって。相手の立場からしたら道理だと思う。
……そうじゃない、
–––– 朧げに、でも確かに、今でも強く心臓を締め付けるこの居心地の悪い痛みが、何よりも怖かった。
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エコ - かなけんさん» 感想ありがとうございます。メチャクチャに嬉しいのですが、この感動を言葉に表すに足る語彙力がないので、うまく伝えられなくて申し訳ないですが、本当に本当に嬉しいです。スクショしてにやにやするぐらいです。遅筆ではありますが、これからもよろしくお願いします。 (2022年3月28日 23時) (
レス) id: 3464e68ae3 (このIDを非表示/違反報告)
かなけん(プロフ) - めっちゃ好きです！！毎回更新されるの楽しみすぎます！！💞 (2022年3月27日 22時) (レス) @page19 id: 4ee55b59ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エコ | 作成日時：2022年3月13日 23時
