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朝練がない分、いつもよりずっと遅くに電車に乗った。
高校に入って一年間じっくりと生活リズムを整えていたおかげで習慣になった早起き。試験期間といえど今日も例外ではなく、早くに起きはしたものの、軽い試験勉強の復習にあてた。
朝練のある日よりも三本も遅い車内。サラリーマンが少し減って学生が多めであること以外は変わらずほとんど寿司詰め状態だった。
高校生たちはこぞって膝の上、お腹のあたりで参考書や英単語を広げている。
試験前に見慣れた景色ではあるものの、軽くグロッキーになって、逃げるようにホームに出た。
学校最寄りは同じ稲荷崎の制服がずらりと並ぶ。遅刻ギリギリだから人数はそうでもないが。私もその流れの中に紛れて、改札口へと続く道へと足を向けた。
「文月さん」
不意に声がかかる。
おそらく私を呼んだであろう声に足を止め、辺りを見回した。……が、顔見知りは見当たらない。
気のせいかな、と、そう思ってまた歩き出す。
「文月さん、」
再度呼ばれ、その声の方向を見ると、少し離れたところで頭一個ぶん飛び抜けて背の高いところで確かに声の主を確認する。
見上げないと気付かないわけだ。
「おはよう、宮くん」
「おはよ、一緒に行かん？」
「いいの？えっと、あちらは」
私の方へ駆け寄ってきたのは宮治くん。
一方兄弟の宮侑くんは、少し離れたところで先輩らしい女子たちに絡まれて微妙な顔をしていた。察するにあからさまに邪険にはできないのかもしれない。
「あー、アレはええねん。生贄や」
「そう言われると本当にそうにしか見えないよ」
私も決して極端に背が低いわけではないけど、並ぶと本当に背の高さを実感する。
見上げないといけない距離にある治くんは、侑くんの方を見てフッと笑っていた。
「都合良くええのが身内におったわ」
「悪い顔〜」
笑いながら和やかに登校路へ着く。果たして私は上手に笑えているのだろうか。会話を楽しむのとは裏腹に、背筋に嫌な汗が伝っていた。学年関係なく人気な宮くんと肩を並べて登校というのは、十分にスリリングと言える状況である。
「なぁ、昨日の分見た？」
あまり学校内で表立って話すことはないけど、DMのやりとりによって特段話題には困らないことは幸いか。
「見た！全然ハマるつもりなかったんだけど、ハマりそうかも」
「今更やない？」
「たしかに……過去作も見ようかなとか考えてた」
「試験期間のそれ、さすがにフラグやで」
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エコ - かなけんさん» 感想ありがとうございます。メチャクチャに嬉しいのですが、この感動を言葉に表すに足る語彙力がないので、うまく伝えられなくて申し訳ないですが、本当に本当に嬉しいです。スクショしてにやにやするぐらいです。遅筆ではありますが、これからもよろしくお願いします。 (2022年3月28日 23時) (
レス) id: 3464e68ae3 (このIDを非表示/違反報告)
かなけん(プロフ) - めっちゃ好きです！！毎回更新されるの楽しみすぎます！！💞 (2022年3月27日 22時) (レス) @page19 id: 4ee55b59ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エコ | 作成日時：2022年3月13日 23時
