00 ページ1
.
いつも通りだった。
ぐずついた空模様。降り続く雨。
朝、うまくまとまらない髪をピンで留めた。
傘立てに手を伸ばし、先々週に失くしたばかりなのを思い出す。
代わりの折りたたみ傘が、情けない金属音でギッと鳴いた。
落ち、跳ねて。地面の色を濃くさせて。
隣に立つサラリーマンの濡れた傘が私のスカートの裾を濡らす。
当の本人は少しも気付かない様子で、やたらでかいゴシック体で飾られた自己啓発本を読み耽っていた。
誰のかもわからない舌打ちの音。
少し重たい空気に包まれる憂鬱な電車通学の最中、逃げるようにSNSを開いた。
そして、開いてすぐに画面下部に並ぶ各機能のアイコンの中、ハートマークに通知のチェックがついていることに気付く。
……何だろう?
私の指は吸い寄せられるように、ハートマークをタップしていた。
.
『 osm__38 さん があなたをフォローしました 17時間前』
.
電車の窓を叩く雨粒が、勢いを増したような気がした。
.
85人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
エコ - かなけんさん» 感想ありがとうございます。メチャクチャに嬉しいのですが、この感動を言葉に表すに足る語彙力がないので、うまく伝えられなくて申し訳ないですが、本当に本当に嬉しいです。スクショしてにやにやするぐらいです。遅筆ではありますが、これからもよろしくお願いします。 (2022年3月28日 23時) (レス) id: 3464e68ae3 (このIDを非表示/違反報告)
かなけん(プロフ) - めっちゃ好きです!!毎回更新されるの楽しみすぎます!!💞 (2022年3月27日 22時) (レス) @page19 id: 4ee55b59ac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:エコ | 作成日時:2022年3月13日 23時