素直に言えない真実は朧に隠されて。

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あれは今から大体、五年前だっけ。
蝉がジリジリと鳴く季節のこと。

私は山奥にいた。

「何でこんなに暑いのー！！」

大声で叫んだ。
まったくその日は暑くて暑くて。そりゃあ、夏なんだから当たり前なんだけどいわゆる猛暑日ってやつで並々ならぬ暑さだった。

この頃の私はまだ妖術がうまく扱えなくて、山奥で妖術の練習をしていたんだ。
まだ妖怪としても半人前。こんなので人間の役に立つことなんてできるわけがなかったから。

私には妖怪としての使命がある。
それは人間たちに物事の前ぶれを教えること。

その使命のため私は妖術が使えるようになるよう日々精進していた。

「ニャーン！！」

そんなところにやってきた一匹の猫妖怪。
その子がロウだったんだ。

「え！？君どうしたの！？」

「大変なんだニャン！大変なんだニャン！助けて下さいですニャン！」

これが私たちの出逢いだった。

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