素直に言えない真実は朧に隠されて。

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ミサキside

「ねぇ、ねぇ…。答えてよッ……」

この前まで、確かに見えていた私。
でも、今の私はAの目に映らない。

まるで、私が存在しないかのような態度をとられる。
妖怪である以上、人間に無視されるのは当たり前。だから、これだって可笑しな事じゃないってわかってる…。

だけど、私は嫌なんだ。

嫌で嫌で仕方がない。
Aとの思い出は、私にとってかけがえのない思い出だから。

そんな思い出が、消えてしまったようで嫌で仕方がないんだ。

「ねぇロウ、君は……一体、何故消えてしまったの」

尋ねても、返事が返ってくるはずもなく。
私の虚しい声が自分の耳にだけ届く。

「A！Aなら知ってるんでしょ？教えてよ！」

そう言って揺らしても、耳には届かない。
不意に、大粒の涙が肌を伝っていく。

泣かないって、決めてたのに。
妖怪なんだから、人間のせいで泣いちゃいけないって思ってたのに。

「やっぱり、Aは私にとって大切な友達なんだ」

呟いた言葉。
その言葉。聞こえたのかどうかわからないけど、一瞬だけAの動きが止まる。

『そんなわけないよね』

一瞬止まったAはそう呟いた。

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