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トウマside
「った!わっかんねぇよ!!」
前に見える誰か。ぼやけていて、よく見えない。
それが誰なのか、そもそも此処が何処なのかすらわからない。
「…なんだよ…って____か…。」
よく聞こえなかった。
何だか不思議な気持ちだ。誰か何処かわからないのに何故か懐かしみがあって。
「入ってきちゃ、悪かった?」
「いや?別に?」
口からつらつらと話される言葉は確かに自分は出しているのだけど、自分の意思とは無関係で放たれていく。
「そういえば、何やっているんだ?」
「何って、機械いじり」
「苦手って言ってなかったか?」
「___には関係ない」
まただ。
またよく聞こえなかった。だけど、推測するにきっと名前。
と、考えると聞こえなかった部分は両方名前なのだろうか。よくわからない。
「貸してみろ」
そう言って、誰かの前にあった時計を手に取った。
何処かで見覚えがある。一体何処かはよくわからないが。
カチャカチャと音が鳴り暫くして「これでいいんじゃないか」と尋ねた僕。
差し出せば直ぐにその誰かは手にとって、まじまじと時計を見る。
「凄い…」
本心のようだ。
確かに、凄い。我ながらよくできたと思う。とはいえ、勝手に体が動いただけなのだけど。
「何かあったら頼れよ?」
「でも…」
何故か詰まった。
さっきまで向けていた輝いた眼差しが急に曇った。そして、俯く。
「いいよ、僕のことは気にしないで?」
優しく声をかけても、じっと下を俯いたまま。
ただ、何かを考えているような感じ。
そんな沈黙の時間がしばらく続く間に僕は気がついた。
その誰かが泣いていることに。俯いて泣いているのがばれないようにしているということを。
「ありがと、___。」
また、聞こえなかった。
俯いたまま言ったその言葉。名前だろうその言葉が聞こえなかった。
「いいんだ、“
自分の目の前にいた誰か。
その誰かの名前は何処か聞き覚えがあって、懐かしくて。
きっと、僕とは関係がないであろうこの光景にただ心惹かれた_____。
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ピカヒカリ(プロフ) - 星乃琉生さん» あ、ありがとうございます!!更新がんばります! (2019年7月19日 18時) (レス) id: f74e3a9ead (このIDを非表示/違反報告)
星乃琉生(プロフ) - とても興味深い物語で、いつも楽しく読ませてもらっています!更新頑張って下さい! (2019年7月19日 11時) (レス) id: 2b3d39f920 (このIDを非表示/違反報告)
ピカヒカリ(プロフ) - 魔戒さん» 更新頑張り……たいです。← きっと大丈夫さ☆← 更新頑張ります (2019年7月4日 19時) (レス) id: c88429faf5 (このIDを非表示/違反報告)
ピカヒカリ(プロフ) - 星乃琉生さん» ありがとうございます!pannpakapaーnn!!パンパカパーン!ありがとうございます!! (2019年7月4日 19時) (レス) id: c88429faf5 (このIDを非表示/違反報告)
魔戒 - 続編おめでとうございます!更新頑張ってください (2019年7月3日 23時) (レス) id: b1d63bb0ce (このIDを非表示/違反報告)
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