闇の中 ページ20
｢ど、どうしよう｣
｢大王に“破壊する者”がとりついたのか？｣
アキノリやトウマは焦った声を口に出す。
どうすれば、大王がもとに戻るのだろう。
私がそう考えたとき、ふと、あのときの光景が思い浮かんだ。
Aが、“破壊する者”の前に仁王立ちして、何かを言ったあのときのことを。
｢ーねぇ、A、なんとかできるでしょ？｣
断定に限りなく近い質問をした。
Aは一瞬こっちを見て、目を見開いて、すぐに笑った。
『何でもお見通しなのかしら』
くすり、と笑った彼女は、また、あのときのように大王の前にたった。
まばたきするよりも短い間、Aの目は緋色に染まった。
そして、大王の回りの邪気をのみこんだ。
今、大王の邪気が、彼女に吸い込まれていった。
『これで、大丈夫』
そういったAは読めない表情をしていた。
｢......A｣
正常な瞳に戻った大王は、感謝の言葉よりもさきに、責めるような顔をしていた。
どうしてなんだ、とでも言うように。
『ごめんね、ごめんね』
違うっていいたいけど、いってあげないといけないのに、私の頭は、その事を全否定していた。
ほんとはわかっていたんだ。
わかりたくなかっただけなんだ。
どうしてわたしなの。
わたしだって、みんなみたいに、ふつうでありたかった。
どうして、
どうして、
どうして、
どうして、
ドウシテ、
ドウシテ、
こノせかいヲこワせば、やりナオせル？
『そう、それでいいのよ』
笑う。
『わたしはあなた。あなたはわたし。』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わたあめ(プロフ) - アインツバルさん» ありがとうございます！！！ (2019年4月6日 14時) (
レス) id: fb6d080f24 (このIDを非表示/違反報告)
アインツバル - おおキタコレ。((唐突)) 応援してます！！ (2019年4月6日 8時) (レス) id: db0b681609 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ(プロフ) - 苺パフェさん» ありがとうございます！励みになります！がんばります〜！ (2019年2月12日 20時) (レス) id: fb6d080f24 (このIDを非表示/違反報告)
苺パフェ - いつもこの作品をみさせてもらってます！更新頑張ってください！！ (2019年2月12日 17時) (レス) id: 2d4f71acf5 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ(プロフ) - 殺戮アリスさん» 教えていただきありがとうございます。訂正しました。気を付けます！ (2019年1月29日 22時) (レス) id: fb6d080f24 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わたあめ | 作成日時：2019年1月29日 20時
