＊プロ野球＊ ~短編集~

見透かされて F7 ページ22

今日はデーゲームで仕事帰りの彼女を車に乗せ俺の自宅に向かう





















『今日もお邪魔していいの??』










「1人でおっても暇やしお前だってどうせ暇やろ？」









『寂しがり屋さんだねえ』









「けどそんな俺に付き合ってくれるのはどちらさんですか？」









そんなくだらない話をしているうちに、マンションの駐車場につき家に向かった









人の家だと言うのに彼女はまるで我が家かのように、冷蔵庫を開けまた俺が楽しみに取ってあったワインを勝手に取り出しテーブルに置いた









「うわ…またお前…」








『いいでしょちゃんと美味しいおつまみ作るから』









我が家の配置を熟知している彼女は、キッチンに行きおつまみを作り始めた









『ねぇ遥輝くんってさ隠し事してない？』







「何どうしたん」









『気づいてないとでも思った…?』




じわりじわりと俺の本心をつついてくる彼女が恐ろしく鳥肌が立った





『遥輝くんのさ言葉1つ1つがね最近でたらめにしか聞こえなくなってきたの』





『愛してるだったり、好きだったり、私だけ、ってのが全部嘘にしか聞こえなくてね』




『遥輝くん首元見た?』





上手く隠したと思ったキスマーク




彼女にはバレバレだった






「ほんまにごめん」





『今更謝らないでよ』





『遥輝くん別れよっか…』






「俺は…」








『そういう曖昧なところ…変わらないね』



彼女はコンロの火を消してソファに置いてある荷物を持って




『遥輝くんまたね』







「待って別れようとか言わんといて」







「ごめんほんまにごめん」









今気づいた結局俺は彼女のことが好きなんだと










きっとこの気持ちは嘘じゃない









そうきっと嘘じゃないはずだ…








惨めな気持ちになりたくなくて咄嗟に出た嘘なんかじゃないはずだ…









『嘘つき…』









彼女はポツリとその言葉を呟いて家を出ていった









俺の心の中そして行動は全部見透かされていて









2人で飲もうと思っていたテーブルに置いてあったワイングラスを勢いよく床に叩きつけた









「なんやねん…お前こそ浮気しとった癖に」

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