嫌いじゃなくて、好き。【名前変換オリジナル】 (ページ9)

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翼Side

ゆっくりと暗闇の中を進んでいく。

Aはずーっと服の裾を掴んで離してくれない。性格上男に媚びるなんてありえないから、マジで怖いのかも。

悪いことしたなと反省していた、そのとき。

「あはははは！」

「ぎゃあああっ！」

突然男の笑い声が響いた。お化け役の誰かの声だろうか。

そして、コイツの悲鳴には本当に色気がないんだな。見た目がこんなに綺麗なのに。

あ、これは深い意味で言ってないから。マジで！！(←必要のない弁解をする翼くん)

それより、彼女が抱きついてくるので、動けない。どうしよう。

「…A、進むぞ。出られないとまずいだろ」

「いやぁああ！行かないで！！」

「お前も一緒に行くの！さすがにそこまで薄情じゃねぇよ！」

余裕なさすぎて、自分でも何言ってるか分かってないようだ。

…腹くくるしかないか。

「…出るまでずっと繋いでてやるよ。何なら目をつぶっててもいいから」

「…ぅん」

涙目のまま目をつぶった弱々しいジュリエットの手を取り、鼓動が早まるのを悟られないように進む。

その調子のまま、部屋から出てきた。

目を開けた彼女は、感極まってまた抱きついてくる。しかも半ば泣いてるし。

…ダメだ。超可愛い。言ってる場合じゃないけど、Aがすごく可愛い。

「流石にそろそろ落ち着けって。な？」

「うぅえあああ…」

「意味不明なこと言うなよな」

割と小さな彼女の頭をキャスケット越しに撫で、何とか安心させることに成功した。

この様子を漣に見られてるって悟った時は、マジで泣きたくなったレベルで恥ずかしかった。