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やはりジンはオークションに出品された品が目的ではなかったようだ。
組織のことをマークした、警察と繋がりの深い政治家を暗殺することが目的だったらしい。
「ごめんな、こんなこと聞いて」
「いえ。でもなんで聞いたんです？」
「見たんだよ。あのオークションでね」
最近は零と屋上で話すことが多くなった。
「誰も滅多に来ないから安心できるでしょ？」とのことだ。本当によく出来た部下だなとつくづく感心する。まあ仕事に関しては鬼だがな。
オークションに参加して気づいたが、仮面ってあんまり効果ないと思う。
あの銀髪と高身長、そして匂いは確実にジンだと主張しているものだった。
フードとか被って参加すべきだろうな、ああいう奴は。
「…よく分かりましたね、ジンって」
「あれ、言ってないっけ？会ったことあるって」
「初耳ですが！？」
肩を掴まれて前後に揺さぶられた。部下を叱る鬼の降谷の顔だったから、思わず苦笑いを浮かべてしまった。怖すぎだろこいつ。
「俺の働いてるとこって闇の情報が集まるとこだ。会っても不思議じゃないだろ？」
「いや、まあそうなんですけど。Aさんの顔なんて会ったら一発で覚えられるんですからね？それが心配なんですよ」
あはは...もうおせえんだなそれが。
まさか交流があるなんて思わないだろうな。
キールやベルモットが言わない限り気づかないはずだ。ジンはベラベラと話すような奴ではなさそうだし。
それに、零によって関係が絶たれた時の春樹がどう動くか分からない。あいつはまだ未知だから。
「いやあ、忙しいな」
面倒くさいことが立て続けに起こってしまったし、心がかなり疲弊している。こうして外で零と話せるのはいい気分転換だ。
「最近は特にですね。会いませんし」
「お互い様だな。心身ともに爆弾抱えてるよ」
首を回して重たさを改善しようと思ったがやはり手強い。
整体行こうかな...
「…その傷はやっぱり任務で？」
「ん？あ！お前！」
答えるよりも先に襟をグッと下げられて、大きな絆創膏(というかもうガーゼ)が顕になった。
人の承諾を得てから下げろや。
「えっち」
「つい」
ついってなんだよ。むっつりか。
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作者名：セメント紅井 | 作成日時：2023年6月3日 17時
