隣の席 ページ2
しかし、今日の彼は圧倒的に運が悪かった。
もう授業が始まって10分ほどたっていたというのに、教室に駆け込んできた生徒がいた。
生徒たちの雑談の声でほとんどドアが空いた音も走ってきた音も聞こえず、駆け込んできたその生徒、監督生の存在は気づかれていなかった。
唯一の女子生徒、監督生にイデアはビクリと方を揺らして動揺した。
ﾋｪｯヤバイ。おなごと同じ空間にいる...いやいや何考えてんだよキモすぎ。死ね。
そんな事を考えている間に、あろうことか監督生は自分の隣の開いてる席に座った。
「....！？！？！？」
「あ、すみません！ここ座ってもいいですか？」
男子校に似つかわしくない、高くて柔らかい、可愛らしい声だった。その声にまた体が硬直する。
ピアスや巻いた髪などの陽キャらしい見た目からに反して丁寧に声をかけてくれた。
「...ァ、ﾊｲ....」
何とか絞り出した声はギリギリ聞き取れる程の声で、そらしたままの目を泳がせた。
とたんに恥と自己嫌悪の波が襲ってくる。
だが、当の監督生氏は気にしていない様子で、さらに続けた。
「ありがとうございます！いろいろやらかしてるんでご存知かもですけど、オンボロ寮の監督生、ユイです」
えっまって？？？会話続けるの？もう無理だが精一杯だが？？？かと言って無視もできないし、え、この娘こんなキモオタ陰キャに話しかけて何がしたいの？得なくない？あっあれですか、罰ゲームですかそうですかそうですよね、自分なんかに自ら話しかけてくれる訳ないですよね調子乗りましたすみません。
.
.
....じゃない！！！！
監督生氏が自己紹介してくれたんだし、流れ的に拙者も自己紹介すべきなんだろう、と気づく。
エまって自己紹介ってどうすればいいの？自己紹介ってなんだっけやばいゲシュタルト崩壊してきた。助けてオルト！
「先輩、お名前は？」
「...イ、イデア....シュラウド....」
「イデアシュラウド先ぱ...あ〜！タブレットの！？」
「ヒッ！？あ、そ、そう、そうです、ハイ...」
なんでこんなにどもるんだ。もっとまともに喋れないのか拙者は？？？？
「イデア先輩ってゲーム好きなんですよね？私も元の世界で結構やってたんですけど、どんなのやるんですか？」
「ぁ...えっと、せ、ぼ僕は...」
拙者、といいかけて慌てて飲み込む。
好きなゲーム？女の子に引かれないゲームis何？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 20人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぴの x他1人 | 作成日時：2021年4月17日 16時
