・ ページ10
・
心臓が､止まるかと思った｡
それくらいの衝撃だったし､脳が再起動するまでたっぷり３秒はかかった｡
「A……｡」
俺が振り返ると林檎にも負けないんじゃないかと思うくらいに頬が赤い彼女が立っている｡
笑顔以外の表情なんてレア｡
呑気にそう考えてから､さっきの自分の発言を思い出す｡
「あ……｡」
もはや告白のような発言を聞かれたことに今さらながら気づいて頬に熱が集まる｡
「友達って意味でしょ？分かってるから｡」
そう言ってまた微笑む彼女がどこか無理しているように見えたのが気になって､口を開こうとしたが結局閉じてしまった｡
「Aは､何でここに来たの？」
「告白｡」
あーあ､めんどくさい｡なんて呟くAはすっかり告白されるのに慣れているようで｡
流石｡としか言えない｡
「Aー｡」
聞き覚えのある声に視線を向けると､そこに立っていたのはいつかの昼休み､俺に邪魔するなよ？と念押ししたあのクラスメイトだった｡
「あれ？孤爪何でいるの？」
口調や表情こそフレンドリーな感じだが､笑っていない目が､苛立ちの滲んだ声音が､俺に「邪魔だ｡」と訴えている｡
言われなくても消えるから｡
さっさとその場を後にしようと一歩踏み出したが､二歩目を踏み出すことは敵わなかった｡
「すぐ終わるから｡」
Aの小さい手が俺の腕を掴んで離そうとしない｡
力を入れているとはいえ､所詮は女子の力､加えて小柄な彼女だ､引き離すのは容易なこと｡
ただ､この温かい手を心地よく思うのも事実で離れてしまうなんてもったいない｡
俺が黙ったのを了承と受け取ったAは唇を半月形に吊り上げて笑うと､薄笑いを浮かべたクラスメイトに一言｡
「ごめんね､大事な人にそんな目をする人とは付き合えない｡」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マカロニ(プロフ) - りんごそばさん» コメントありがとうございます｡そう言っていただいて光栄です！ (2019年8月19日 16時) (
レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
りんごそば(プロフ) - 文が綺麗で、内容も新鮮ですっごく面白かったです！！ (2019年8月14日 10時) (レス) id: c6e1875d82 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ(プロフ) - 夜桜伊織さん» コメントありがとうございます！運命感じていただけて光栄です！これからもこの作品をよろしくお願いします！ (2019年6月18日 20時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜伊織(プロフ) - 最近倫理の授業でイデア論を知ったのでこの作品を見つけた瞬間なんか運命を感じました。習ったことを活かすってまさにこういうことなんですね、尊敬します！ (2019年6月17日 1時) (レス) id: 8d7012ae56 (このIDを非表示/違反報告)
マカロニ - 藤和さん» ありがとうございます｡私も様々な文章を読んで必死になりながら勉強してます｡(笑)よろしければこの作品に最後までお付き合いください。 (2019年3月12日 21時) (レス) id: 30ec427a94 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：マカロニ | 作成日時：2019年3月11日 20時
