★7話★ 婚約相手!? ページ9
それからいくつかオーナーさんと会話をする。
オーナーさんは本当に明るい人で話も面白い。
なんで、この人、結婚出来ないんだろう。
「あ、今、失礼なこと考えただろ」
オーナーさんがジロリと睨む。
「そんなことないですよ?」
私が本心を隠すように笑ってそう答える。
そんなことをしていると、カランカランとまた音を立てて扉が開いた。
入ってきたのは、従業員と思われる人が何人か。
「おはようございます、オーナー」
口々に挨拶をし、入ってくる。
「おお、おはよう。あっ、ちょっと集まってくれ」
オーナーさんは挨拶を返し、それから、気づいたようにそう言う。すると、そのやってきたばかりの従業員さん達がわらわらと集まってきた。
オーナーさんは、ちょいちょいと私を手招きし、その従業員さんの前に呼び寄せる。
「今日の従業員は、これだけで、午後からはリッチが来るだけだから、先に紹介しておくことにするぞ」
オーナーさんがそう言い、そして、私の方へと目を向ける。
「今日から働くことになった、Aだ。教育係には、午後からしか来ないが、リッチがつくことになっている。ほら、A、挨拶」
オーナーさんにそう言われ、私はぺこりと頭を下げ、
「A・ スミスです。ご迷惑をおかけすることもあると思いますが、どうぞよろしくお願いします」
と言うと、従業員さんは優しい笑顔で手を叩いてくれた。
私が顔を上げると、従業員さんの1人が興味深そうに私を見つめる。
そして、一言、
「ね、ね、君、オーナーの結婚相手?」
と言ったのであった。
「…へ?」
思わず声が漏れ、それから、オーナーさんと顔を見合わせる。
すると、別の従業員さんも続けて云う。
「オーナーがいつもにも増して優しそうな顔してるからさぁ」
「ついに!?」
「万年独身のオーナーに婚約相手が!?」
と口々に言う従業員さん。
ずいっと近づき、興味深そうに、らんらんとした瞳を私とオーナーさんに向ける従業員さん達。
オーナーさんは苦笑をし、否定するように顔の前で右手を振る。
「待った、待った!違う違う!此奴は俺の親友の娘なだけだ!…あと、万年独身は余計だ!」
「なーんだ、残念…」
心底残念そうな従業員さん達に、オーナーさんは、
「俺の心配はいいから、此奴に制服とかロッカーとか教えてやってくれ。仕事をし始めるのは午後からにして、午前は見学をしてもらうからよろしくな」
と言った。
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作者名:マリーAI | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Marie-HP/
作成日時:2019年4月22日 19時