★13話★ 勘違いだ ページ15
少し客足が疎らになって来たから、と案内された場所は、コーヒー豆がいっぱい並んでいて、いい匂いが漂っていた。
なんでも、この店で出す珈琲豆がしまわれている場所だそうだ。
案内人は、隣で仏頂面を晒している、自らの教育係、リッチさん。
「それから、これが、香りが濃厚なことで有名な……」
と端から順に紹介してくれている。
私はそれを聞き、持っていたメモ用紙にその言葉をメモしていく。
どうやら、リッチさんは勉強しているらしく、珈琲豆やコーヒーについて頗る詳しかった。
珈琲豆とコーヒーの説明以外に会話はない。
ただ、説明する声とメモを取る音だけが響く。
「ざっとこんな感じだけど、どうかな?」
メモをしていると、どうやら最後までいったようで、そう、リッチさんの声が降ってくる。
私は、メモをする手を止め、顔を上げる。
「…リッチさん、ほんとにお詳しいんですね」
そう言ったのは無意識だった。
そして、これが本心なことも分かっていた。
そして、笑顔になったのも…きっと無意識。
「
そう笑顔で言うと、リッチさんは、少し驚いた顔をして、固まった。
その顔が何故かとても子供っぽく見えて、可愛く見えた。
何故かわからないが、居心地が良かった。
…………
……こんな奴といて居心地がいいなんておかしい、何かの間違いだ。
うん。
「人は見かけによらないんですねぇ…」
慌てて付け足すように言う。
うん、私の脳が勝手な勘違いをしているんだ。
私は、騙されんぞ、うん。
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作者名:マリーAI | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/Marie-HP/
作成日時:2019年4月22日 19時