24.飼い主 ページ24
私に被さるように前に立つ一松くん。
真っ直ぐに坂元くんを睨み付けている。
その眼差しは鋭いのに怖さとか冷たさとかはまったく感じなくて、不器用な優しさだけが熱を持って伝わってきた。
「今俺は三宅と話してるんだけど？」
「明らかに嫌がってんじゃん。見てわかんない？」
「てかアンタ三宅の何なの？」
にやにやと気持ち悪い笑みを浮かべて言及する坂元くん。
一松くんのパーカーの裾を強く握ってさらに後ろに隠れた。
するとそれに気付いたのか一松くんがこっそりと耳打ちする。
「ミケ、走れる？」
「え、何で」
「逃げるよ。走って」
私の返事も聞かずに腕を引いて走り出す一松くん。
こけないようになんとか一松くんに着いていくのがやっとだった。
どこに向かっているのかもわからないままただ引っ張られるままに走った。
坂元くんは着いてこれなかったみたいで、一松くんの家の前で二人息を切らしていた。
気づけば空は藍色が混じってきていて、もうすぐ夜が近づいているのだと感じられた。
「…一松くんなんでいたの？」
「迎えに行こうと思って」
「え、でも残業って」
「いくらネジ何本も抜けてるミケでも夜遅くに一人は危ないでしょ。さっきみたいなのとかいるし」
「でも、」
「男が夜道歩いたって狙うやつなんかいないでしょ。遅くなっても待っとくから」
「一松くんありがとう！」
「別に。飼い猫管理するのは飼い主の役目だし」
「なにそれ！」
こんなどうにもならない話をしていると、やっぱり一緒にいるのは一松くんがいい。だなんて思う。
これもいつかの日に一松くんの飼い猫にされたからだろうか。
そうだとしても、そうでなかったとしてもどっちでもいいのだけれど。
「あのさ、」
「よーう一松！あれ彼女？」
これはどういうことだろうか。
一松くんとそっくりな赤いパーカーの人。
でも全体的な雰囲気が全然違う。
赤い人の方は太陽のように全てを照らしてしまいそうなイメージ。
そう、全てを。
「一松くん、兄弟いたの？」
「…うん」
「どうもー！松野家長男松野おそ松でーす！」
「あ、どうも」
「ねえ、君一松の彼女？今日泊まってく？」
「あの、明日も仕事があって」
「一日くらい休んじゃいなよ！」
「いや、でも」
「一松もそうすればって！」
「言ってない」
「目が言ってる」
「言ってない」
マシンガンのように浴びせられるのは歓迎の言葉。
裏がありそうな無さそうなそんな表情のお兄さん。
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薫 - 超泣けました。 一松イケメンかよ(´;ω;`) これからも頑張ってくださいね!! (2016年2月25日 0時) (
レス) id: dcb8c365a4 (このIDを非表示/違反報告)
はるる - 続編楽しみにしています！ これからも頑張ってください (2016年2月14日 15時) (レス) id: 260c6f1543 (このIDを非表示/違反報告)
トシア(プロフ) - 作者Aさん» 素敵な作品と言ってもらえて感動の限りです( ；∀；)続編が遅れてしまい申し訳ありません。これからも頑張りたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 (2016年1月11日 15時) (レス) id: c802c9d4f3 (このIDを非表示/違反報告)
トシア(プロフ) - 月宮さん» 続編遅れてしまい申し訳ありません。続編からは番外編も予定してあるので！よければ見てくださいね(*´▽｀*) (2016年1月11日 15時) (レス) id: c802c9d4f3 (このIDを非表示/違反報告)
トシア(プロフ) - ラナさん» ラスボス感を出させたいがためのハタ坊です(*´▽｀*)かっこいいハタ坊に夢見てます。 (2016年1月11日 15時) (レス) id: c802c9d4f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トシア | 作成日時：2015年11月21日 15時
