元引きこもりの周りが病んできた…【文スト】

元引きこもりが８４人。 ページ44

相沢side

夜のヨコハマを無我夢中で走る。

ヨコハマは治安が悪い。変な人に目をつけられないよう人通りの少ない場所を走っていた。


………が、直ぐに後悔した。

見ず知らずの場所にあるホテルで落ち着けるかと言われれば勿論私の答えはＮＯだ。


どうしよう。ネットカフェにでも潜り込もうか………

スピードが落ちる。そして、足が止まる。


『よし、』


やっぱり戻ろう。外に出て頭は冷えたし、

先刻(さっき)の太宰さんへの無礼は後日謝るとしよう。


それにしても、この距離をもう一度自分の足で戻るのは一寸(ちょっと)なぁ………

私は中原師匠直々の指導に加え元ポートマフィア遊撃隊。体力はある方だし、

それはほんの数年で泡と化すような並大抵のものではない。

つまりそれほどの速度と距離を走ってきたのだ。


無理、流石に疲れたかも。

だが、自分で決めたことだ。今更ホテルに行く気も起きないし。

残りの体力を振り絞って私は地面を蹴り駆け出した。


「A………？」


その様子を、かつての友人が見ていたなんてことは夢にも思わず。
ー−−−

やっとだ。やっと帰ってきた………！

見事に私はあの距離をスピードを落とすことなく走りきったのだ。

すごいぞ私、と自賛しているところ、

アパートの私の部屋に明かりがついていることに気が付いた。


まさか、太宰さんが。

＿＿＿＿せめてもう少しあとに知りたかった。


私の気分は即反転し、周りから窓が見える仕様になっているアパートに、

やり場のない怒りをぶつけた。

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