元引きこもりの周りが病んできた…【文スト】

元引きこもりが７０人。 ページ30

相沢side

『それにしても、すごい食べっぷりだねぇ…』



「そうでしょうか？美味しいのでつい…」



えへへ、と頭を掻く賢治くんをまじまじと見る。



私なんか、ここで一番安いのを選んでとっくに食べ終わっているというのに、



賢治くんはお皿を積み上げてもぐもぐと未だ牛丼をお箸で行儀よく食べている。



…空腹の敦くんはお茶漬けを掻き込んで食べていたのに…



それにしても、



可愛いなぁ…癒しだ。



いい子だし、社員や社長からの信頼も厚いだろう。



逆に欠点とかあるのかな、と考えて思いとどまる。



こうやって悪いところを詮索しようとするのは良くない。



そんな情報得たところでどうにもなんないし。



…あ、欠点で思い出した。



『賢治くんって確か、空腹時でしか異能は使えないんじゃ…



　いいんですか？



　あ、でも異能のためだけに空腹を満たせないのはあれか…』



牛丼が賢治くんの喉を通る。



え、見て分かるくらい喉仏動いたけど…



「そうですねぇ、でも社員の皆さんとても優秀ですから！



　かと言っても他人任せなことはできませんが…



　僕が異能を使えないときは、他の社員の方にやってもらいます！



　その代わり、僕も精一杯頑張らないとですね！



　みんなは一人のために、一人はみんなのために、…」



賢治くん、本当にいい子だ。



今のタイミングで爆睡するのは尊敬しかねるけど。



机に突っ伏す賢治くんを見て、苦笑した。

元引きこもりが７１人。→←元引きこもりが６９人。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す