元引きこもりの周りが病んできた…【文スト】

元引きこもりが５８人。 ページ18

相沢side

『ー、あ、ぃ”、やめ、う”』



なんとか口を開いて訴えかける。



太宰さんは少し目を細めて数秒でやっと体を離した。



はー、はー、と肩で息をする。



『だざ、さん、』



“なんで”



“どうして”



なんて言葉は何故か合わないような気がして、



名前だけ呼んで、言葉が詰まった。



何時もなら「なあに？」とにこにこしながら返事をしてくれるのに



今はこっちを見もせずに下を向いて黙りこくっている。



２分くらいの沈黙が続く。



太宰さんはやっと顔を上げて、



口元だけにや、と釣り上げて言った。



「今のは、私とAちゃんだけの秘密ね？」



目を手で覆われて、外に追いやられた。



ドアの前で力が抜けて座り込んだ。



後一歩遅かったら、私はどうなっていたのだろう…



頭の中が太宰さんだらけだ。



『もう何も考えたくない…』



ーーーー
太宰side

Aちゃんを追い出して、ドアの前で立っていると



啜り泣く声が声が聞こえた。



私が泣かせたんだ。



鳴き声には、私の名前も交じっていた。



こんなにした相手でも、まだ名前を呼んでくれるんだ…



仕方がない、筈。



処女の初心な表情を見て、罪悪感を感じていながらも



私は確かに喜んでいた。



人間失格だ。



が、この世の中に私のような人間失格(クズ共)がうろうろしていると思うと、



間違ったやり方でも、守りたいと守護欲が唆られる。

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