好きだよ、レオくん４【佐野玲於】

引き金 ページ35

Your side



「…3年前の、あの日も？
俺がお前を…無理にでも繋ぎ止めてればよかったかな」

「……っ」



鏡に映るレオくんが少し寂しそうに笑った。
泣きそうな表情。
優しく少し目尻が下がった表情。
繋ぎ止めてればよかったかな、なんて台詞を言いながらのその表情はズルすぎる。

今まで必死で込み上げたものを抑えていたのに、
レオくんの表情が引き金となって、
一滴の涙が頬を伝った。



「私から逃げたんです、
佐野さんは…何も悪くないです。」

「戻れないの、俺ら。」

「……戻るって、…」

「前みたいに、戻れないの。」



室内は静寂に包まれている。
外からはスタッフさんやメンバーさんの声が
微かに聞こえてくる。



「戻りたい、俺は。
また…レオくんって、あの笑顔で呼んでほしい。」

「そんな資格ないの。」

「…資格とか、そんなのないじゃん。関係ないよ。
好きだよって…毎日告白してくれてたときは____

「ないの…っ‼
迷惑かけられない、もう私のことで…
苦しんで欲しくない。」



レオくんは椅子からいきなり立ち上がったと思えば
私の片腕を思いっきり引っ張り、胸の中に引き寄せる。

突然のことで抵抗もできず、されるがままの状態。



でも、近づいて分かったのは、
レオくんの体が微かに震えているということ。

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