口実 ページ34
Reo side
目の前の鏡を見れば、
頬を紅色させ、俺の髪を遠慮がちに触るAの姿。
「…佐野さん、あんまり髪の毛…崩れてないように
見えるんですけど…」
「あー、うん。まぁ…口実ってやつ。」
「……嘘って、ことですか。」
「まぁ…ってかその、さのさんってやつ。」
「……」
「結構…傷つくんで、」
「ただのスタッフが…偉そうに、下の名前で…
そんな呼べないです。」
まじで別人なのかなってくらい大人しいし、
メイクもちょっと変えてイマドキって感じだし、
普通にヒールの高い靴も履きこなしてるし、
Aじゃないみたい。
俺の後ろで俯き加減で、
ほっぺた真っ赤にして泣きそうな顔して。
もう正直、どうしたらいいか全然わかんない。
「A、彼女できたんだ。9ヶ月も続いた。」
「………」
「しかもモデル、めっちゃ可愛いの。
なんかあっちから告ってきてさ。」
「……うん、」
「…1週間前かな、ふられちゃったんだよね。」
「え…」
「理由、俺がなに考えてるか分からなくなった、って泣きながらそれ言われて、フラれた。」
「…それで、?」
「止められなかったんだよね。」
" レオがなに考えてるかわからなくなった "
捨て台詞のように言われて、
小さくなってく背中、見送っただけ。
「サイテーって思った?」
「…うん、正直。」
「ははっお前そこは俺を慰めるところだから。」
「だって…彼女さん可哀想、
追っかけて欲しかったに決まってるのに。」
「……女心、ってやつですか」
「女の子はこっちが逃げても、
追っかけ続けて欲しいものなんです。」
「…3年前の、あの日も?
俺がお前を…無理にでも繋ぎ止めてればよかったかな」
ハッとしたように上げられたAの顔。
鏡越しでピタリと目が合った。
そして、彼女の目から一粒の涙が落ちた。
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めぐ(プロフ) - さよなら、純情のパスワードが知りたいです! (2022年3月30日 13時) (レス) id: 87471c5401 (このIDを非表示/違反報告)
甘夏 - お疲れ様でした!!次回作も楽しみです!こちらこそ、本当に面白いお話をありがとうございました! (2020年5月7日 10時) (レス) id: 1d6fa76e88 (このIDを非表示/違反報告)
mmmmmsss0215(プロフ) - はやく更新されないか毎回待どうしかったです。これで終わってしまうのは悲しい。今後のstoryも書いて欲しいです。 (2020年5月7日 1時) (レス) id: 7082c82480 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 毎回更新楽しみにしてました!超超超超大好きな作品です!!!お時間があればで全然大丈夫なのでアフターストーリーも見たいです! (2020年5月7日 1時) (レス) id: f81c34e9d9 (このIDを非表示/違反報告)
mmmmmsss0215(プロフ) - 毎回楽しみにしています。 (2020年5月4日 2時) (レス) id: 7082c82480 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふたば | 作成日時:2020年3月8日 8時