好きだよ、レオくん３【佐野玲於】

ぐちゃぐちゃ ページ32

Your side


約束の時間まであと5分。

焼肉屋さんの中に1人で入る気にもならなくて、
外で玲於くんを待っていた。

5分前行動、するタイプじゃないのは知ってるけど、
今日だけは早く姿を見せて欲しい、なんて。

今日のためにちゃんと髪の毛セットして、
服だって新しいのに着替え直して、
いつもと違うリップだってしてきた。


マフラーに顔を蹲るように俯く。





「…わりぃ、遅くなった」


その直後、上から降ってきた声。
すぐに顔をあげれば、玲於くんの姿。


「…れお、くん」

「んな化け物見たような顔すんなって」

「玲於くん…」

「…そうだって、何泣きそうになってんの」


それ言われて初めて、頬に涙が落ちたのが分かった。
もう嬉しいとか、悲しいとか、そんな感情が
全部なくなったみたいだった。

人通りの少ない裏路地だけど、
やっぱり人は通るわけで。

だけど、人目を気にする余裕もない。



「泣くなって」

「…分からないの…っ」

「うん」

「もうわけわかんない…っ」




頭の中はぐちゃぐちゃで。

なんで別れることになっちゃったの、とか
なんでそんなに優しい声なの、とか
なんで今ここに玲於くんがいるの、とか


わけわからない。



「…期待ばっかり…させないでよ…っ」

「……ごめん」

「別れたくなかった…」



結局のところそうなんだよ、
玲於くんと…離れたくないんだよ。



「私は…いつもちょっと前を歩く、れおくんを
追いかけるので必死で…っ」

「……うん」

「だけど…やっぱり遠くにいっちゃって…」

「………」

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