好きだよ、レオくん３【佐野玲於】

新しい ページ5

Your side



新しい仕事場、新しい環境、新しい居場所

初日から遅刻は許されるものじゃない。
予定より30分も早く起きて、身支度を整えた。

まだ外は完全に明るくなってなくて、
ひんやりとした空気が床から伝わってくる。



「…よし、」

マグカップ一杯のコーヒーを飲んで、メイクして、
この日のために用意していたかっちりとした服。
なかなか履いていなかった８センチヒールだって、
今日こそは、って決めていた。


あぁ、マフラーしてくればよかった。
そんなこと外に出てから考える。

朝ってこんな寒かったっけ。
玲於くんが毎朝、出かけるの嫌だってぼやいている
理由がちょっと分かった気がする。




「…お、おはようございます…！」


ひんやりとしたドアに手をかけた。
そして聞こえたのはカランと乾いた音を鳴らした
ドアベル。

久々に鼻をかすめた美容室の匂い。
ただ今だけは懐かしな、なんて思う余裕もないほどに緊張していた。

中をぐるっと見回すと、シックで落ち着いている
雰囲気に思わず見惚れてしまう。



「あ、えっと…新しい人？」


後ろから話しかけられ、我に帰る。

黒髪でちょっとパーマかかってる、イケメンの人。
身長も…180くらいありそう。


「…はい、」

「ははっそんな緊張しなくていいから。
初日だし、見学のつもりで見てくれたらいいよ。」

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