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…あ、こんな時間か。
針はお昼の2時を指していた。
庭の手入れの時間か。
荘園の庭師はウッズさん。
みんなから好かれていて、私が代わりに荘園の庭を綺麗にしている。
ウッズさんは…庭の手入れなんかしてる暇ないから。
庭ハサミを使って木の形を整えたり、
下の落ち葉を集めて捨てたり、
噴水の石の部分を水拭きしたり。
3時間経ったあたり、木の木陰に人が寝ていた。
今の時間、ここにいる人は居ないはずなのに。
怯えながらも、ゆっくりと一歩一歩近づいていく。
私達よりも圧倒的に背が高く、妙に鼓動が自分でもわかるほどに鳴り始める。
鼓動が自分でもわかるほど鳴るのは久しぶりで、少し立ちすくんでしまった。
そこでしばらく唖然としていると、その木陰に寝ていた人が起きて私を見た。
「…おや。こんなサバイバー居たかな? 今日来たサバイバーだったりして。一度もマッチングしたことないから知らなくてね。名前を教えてくれる?」
『…ぇ…わ、たし。ずっと、前から…いま…す…』
そう、ボソボソと言うと、きっとハンターであろう人は驚いたような顔をした。
言わなければよかったかな。
「僕とマッチング、したこと…ある? 最近忘れやすくて…。ちなみに僕は写真家のジョゼフ」
『マッチング…無いです。ずっと、ゲームをしていないから…。あ、え…と、私、は…アニー、です。アニー・ハワード』
「アニーちゃんか。覚えておくよ。さて、僕がサバイバーのところにいるって気づかれると厄介なんだよね。手入れ、頑張って。じゃあね」
まるで私を気遣うようにその場を去っていったジョゼフさん。
あんなハンターいたんだな。
聞いていた話とは全く違う。
聞いた話では、もっと怖くて、恐ろしい存在だと聞いた。
でも、あんなに優しく聞いてくれたハンターがいるということに
驚きを隠せなかった。
また、会いたい。
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マルゴト苺(プロフ) - マッチョメロンさん» コメントありがとうございます。推しからの冷水はもうご褒美ですね!!とてもわかります!!(笑)でも、結構末期な気もしなくもないですね……。 (2020年7月27日 13時) (レス) id: 899f79a8dc (このIDを非表示/違反報告)
マッチョメロン(プロフ) - 1話目読んでドSピアソンさん(?)に冷水ぶっかけられてるのにそれすら嬉しいと感じてしまった…末期か…() (2020年7月26日 22時) (レス) id: 5927d30970 (このIDを非表示/違反報告)
マルゴト苺(プロフ) - 家の中で走ってコケた人さん» 神作品なんて言葉、私が受け取っていいのかわからないのですが、少なくともそう思っていただけて嬉しいです!私自身も、ハッピーエンドにしたい気持ちがなかった訳ではないので、ハッピーエンドにしてよかったと思っています…!よければ、次作品もお願いします。 (2019年10月5日 19時) (レス) id: b67c642bf8 (このIDを非表示/違反報告)
マルゴト苺(プロフ) - マルゴト柚子さん» そう言ってくれるのは嬉しいけど、100%相手が悪い訳ではないから別に言わなくてもいいよ。公言するようなことじゃなくても「注意書きの位置とか、CSSで見にくかったのかな」とか。次に生かせるから、寧ろ有難いんだけどね。次の作品も頑張るよ…! (2019年10月5日 19時) (レス) id: b67c642bf8 (このIDを非表示/違反報告)
家の中で走ってコケた人 - もう…凄いっす。夢主ちゃんが幸せになってくれて良かった…ガチで神作品。いやぁ…ここ最近こういう作品バッドエンド多いから凄い嬉しいっす。批判コメなんかに負けず、無理せず頑張って下さい! (2019年10月5日 15時) (レス) id: 4adf5b306e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マルゴト苺 | 作成日時:2019年8月3日 15時