記憶の欠片 (ページ3)

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記憶の欠片ページ3

『ガチャ』

太一「美佳～、来たよ！」

美佳母「あ、太一くん！」

太一「おばさん！来てたんだ！」

美佳母「今、美佳が起きてるのよ！」

おばさんの横を見ると、おばさんの服の袖を握りながら震えている美佳の姿が。

美佳はおばさんのことだけ覚えてる。

他のことはすっかり忘れちゃった。

美佳母「美佳、太一くんはいい人だって言ってるでしょう？」

美佳「……」

美佳は俺の前では一切喋らない。

太一「美佳…ちゃん、俺達は幼なじみなんだ」

毎日同じようなことを言ってる。

美佳の態度は変わらないんだけどね。

美佳「ぅ……そだ」

え、喋った？

太一「えっ？」

美佳「嘘だ！本当は幼なじみ何て嘘なんでしょ！」

ようやく声を聞いたと思えばこの言われよう。

太一「嘘何かじゃないよ！」

美佳「帰って……！」

震えながら言う美佳を見て、仕方なく病室を出る。

いつか、いつか記憶の欠片を全てかき集めて、美佳の記憶を蘇らせてやる。