3.始動 ページ13
「よくもまあ………
ここまで追い詰められても諦めないのだな。」
「ァ…う、…わ、わ…たし、まけずぎらい、なんで…」
少女の喉を空気がかすめる音がする。
ひゅーっ、ひゅー…、
乾燥した空気を大きく取り込もうと呼吸するたび
少女の喉がすり切れてしまいそうな気がした。
細身の男…黒無常は縮めた距離をそのままに Aの顎を
割れ物を扱うように柔らかく掴んだ。
自分の瞳を見るように、目をそらされないように
しっかりと視線を合わせれば Aは怯えによる涙を流し始めた。
「ふん ここに来て泣き寝入りか」
「ちが、う、おねが…い、ころすなら
はやく……」
「殺すだと？まさか。何故お前を殺す必要がある？」
Aは涙を流しながら大きく目を見開いた。
「こ、…殺さない…の？」
「……すまない。俺達とほぼ同じ時期に入った新人のお前に
興味が湧いてな。やりすぎた。立てるか？」
黒無常はAの頬を伝う涙の筋を親指で軽く拭うと
彼女の手を引いて立ち上がらせた。
だがあれだけの傷を負ったAが平気に立てるはずもない。
足は震え、がくりと倒れ込みそうになるAの腰に手を回して支えてやる黒無常。
黒無常の言葉を聞いて多少落ち着きを取り戻したAが黒無常に問う。
「貴方も、私と同じ 新入りさんなんですか、…？」
「お前が入る丁度一週間前にここへ来た。
何か分からない事があるなら俺や他の仲間に聞くと良い。
さあ、行くぞ 逃がしてやる」
黒無常は何食わぬ顔でAを横抱きし
傘をしっかりと握った後に地上への階段を上り始めた。
Aは自分の状況を飲み込めないまま ゲートへと連れて行かれたのだった。
―――――
「ここからは1人だ。足下に気を付けろ」
「…あ、ありがとうざいます」
横抱き、俗に言うお姫様抱っこでゲート前へと連れられたAは
地に足を下ろすと黒無常に向き合った。
「貴方は、どうするのですか？」
「俺も後から行く。ここから出られるのはお前らサバイバーだけだ。」
「後から…って、ことは…また会えます？」
おずおずと小首をかしげて聞くA。
今度は黒無常がしばし目を見開いて驚いた。
かつてこんな事を言って来たサバイバーが居ただろうか。
「お前達サバイバーと俺達ハンターは同じ荘園という場所で生活をしている。
ここを出れば次は荘園で会えるだろう。」
それを聞いたAは表情を明るくさせて
よかった！と笑んだ。
「じゃあ、また 荘園…？で、会いましょうね。」
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アンジェ - →嬉しいです。しぇあはぴ回の｢俺が息継ぎの仕方を教えてやる｣どツボすぎてひとりぉえぉえ言ってます。笑 2人に｢お前少し太ったんじゃないか？｣って全身をもちもちされちゃう夢主ちゃん見たいです...長文失礼しました、この作品集書いてくれてありがとうございます (2020年5月12日 23時) (
レス) id: 309d3cf473 (このIDを非表示/違反報告)
アンジェ - 様々に素晴らしい作品を生み出しお疲れのところ失礼します。白黒無常の夢SSを探し求めて電子の海を三千里さまよった果てに、Gald様の短編集に辿り着きました。端的に言って最の高です。無常たちへの愛が強めな作品ばかりかつ短編集というのが本当に本当に本当に嬉文字数 (2020年5月12日 23時) (レス) id: 309d3cf473 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こっから失礼します。ダンスパーティーでジョセフさんのも欲しいです！←唐突すぎるリク 後回しでも良いので気長にお待ちしてます!! (2018年12月8日 20時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
赤真(プロフ) - Gald@さん» 嬉しい！！嬉しいです！！！相当な我儘を言わせて頂きますと、、占い師、イライ君ともダンスしたい、、、です。待ちます！！最近は冷え込みます故、色々とお忙しくなると思いますので、こちらも気長に待たせて頂きます！！ (2018年12月6日 8時) (レス) id: f6d72e4503 (このIDを非表示/違反報告)
Gald@(プロフ) - 赤真さん» こちらこそ沢山の嬉しいお言葉をありがとうございます;; モチベーションが上がります〜！！ リクエストの方も了解致しました。白黒さんとダンス……素敵すぎます…そんなそんな！ぜひとも書かせて下さいませ！ゆっくり更新しますので、気長に待ってやって下さい…！ (2018年12月6日 1時) (レス) id: 12af62df7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Gald | 作成日時：2018年11月7日 22時
