2.始動 ページ12
「はぁっ、はーｯ…！！」
足が痛い。鼓動がうるさいほど耳に響く。
もう走れない、だけど足を止めたら…。
初めてのゲームへの参加で右も左も分からないAだったが、
背後に迫る人物に追いつかれてはいけないということは頭でしっかりと理解していた。
脱出することを目的としているゲームであること、
先ほど脳内に響いた声の方向に向かえば良いということも曖昧ながらにも理解した。
背後から確実に近づく、細身の男の足音。
そして男の武器であろう大きな棒…否、傘が 空を切る音。
力を込めて自分よりも幾分大きな板を引き倒し、走り出す。
ああ、どこへ向かえばいいんだっけ。
さっきの人たちの声はどこから聞こえてきたものだった？
どこへ、どこへ…
Aはまた走った。建物が見える。あそこの窓枠から中へ入って
上手く巻いて向こう側へ行こう。きっとあちらに脱出できる場所がある。
すっかり恐怖に引き込まれたAの心臓ははち切れんばかりに脈を打ち、
ありもしない根拠の下に希望を見出しては助かることを強く希んでいた。
しかしそれは只の希望である。
現実はそう優しくは無かった。
窓枠を越える寸前に、酷使した己の両足は遂に限界を迎えた。
「っ！」
枠に足を引っ掛けたAは盛大に建物内へ転がる。
さらに運の悪いことに、落ちた先は地下室に繋がる階段だった。
壁に体を打ち付け、段差に頭部を強くぶつけた。
そのまま踊り場まで転がり落ち 彼女は自分が助からないという現実を
嫌でも受け入れるしかなかった。
あの細身の男はそう遅くないうちにこの場所へ来るだろう。
足音が一度遠のいて またこちらへと向かってきている。
「う…ｯ、ぐ……はｯ…ァ…」
まだ、まだ、何か無いか？何か手は無いか。
どこからか逃げ出せないか。その一心でAは這いつくばりながらも
階段を降りていく。だが、いくら願ってもそこは地下室であり
彼女は自ら自分の命を捨てる道へと進んでいる事に気がついていなかった。
「哀れだな。」
頭上に落とされた冷たい声
それは自分をここまで追い詰めた あの人物だった。
「はァ…あ…」
まだあきらめられない。
Aはくたくたになった体に鞭を打って後ずさりをする。
細身の男は右手に持った傘を握り直しながらゆっくりと少女との距離を縮めた。
ついに、Aの背後には冷たい壁。
目の前には冷たい目でこちらを見つめる男。
Aと男の距離はほぼゼロだ。
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アンジェ - →嬉しいです。しぇあはぴ回の｢俺が息継ぎの仕方を教えてやる｣どツボすぎてひとりぉえぉえ言ってます。笑 2人に｢お前少し太ったんじゃないか？｣って全身をもちもちされちゃう夢主ちゃん見たいです...長文失礼しました、この作品集書いてくれてありがとうございます (2020年5月12日 23時) (
レス) id: 309d3cf473 (このIDを非表示/違反報告)
アンジェ - 様々に素晴らしい作品を生み出しお疲れのところ失礼します。白黒無常の夢SSを探し求めて電子の海を三千里さまよった果てに、Gald様の短編集に辿り着きました。端的に言って最の高です。無常たちへの愛が強めな作品ばかりかつ短編集というのが本当に本当に本当に嬉文字数 (2020年5月12日 23時) (レス) id: 309d3cf473 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こっから失礼します。ダンスパーティーでジョセフさんのも欲しいです！←唐突すぎるリク 後回しでも良いので気長にお待ちしてます!! (2018年12月8日 20時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
赤真(プロフ) - Gald@さん» 嬉しい！！嬉しいです！！！相当な我儘を言わせて頂きますと、、占い師、イライ君ともダンスしたい、、、です。待ちます！！最近は冷え込みます故、色々とお忙しくなると思いますので、こちらも気長に待たせて頂きます！！ (2018年12月6日 8時) (レス) id: f6d72e4503 (このIDを非表示/違反報告)
Gald@(プロフ) - 赤真さん» こちらこそ沢山の嬉しいお言葉をありがとうございます;; モチベーションが上がります〜！！ リクエストの方も了解致しました。白黒さんとダンス……素敵すぎます…そんなそんな！ぜひとも書かせて下さいませ！ゆっくり更新しますので、気長に待ってやって下さい…！ (2018年12月6日 1時) (レス) id: 12af62df7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Gald | 作成日時：2018年11月7日 22時
