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「Aといったね。いいかい、私は名の知れた海の魔女だよ」
「はぁ」
「案外驚かないね」
「びっくりー」
「ジョー、可愛い女の子に生意気なこと教え込むんじゃないよ。･･･アンタ、こっちで働く気はないかい?」
「こっち、とは?」
「海で、つまり私の、手下として」
Aは別に、今の生活に不自由はなかった。衣・食・住、全てが安定しているからだ。
欲を言えば、友達が欲しい。それくらいなのだが、
「嫌だと言ったら、口外しないように色々と?」
「するだろうね」
「じゃあ、あります」
「交渉成立だ。だからって口外は許されないよ。結婚式が終われば、海のアトランティカは私のものになって、アンタの足はヒレになるのさ･･･フフッ」
ああ、だからか、とAは納得した。
魔女だから、エリックの心を一瞬で捉えたのだろう。
まあヴァネッサは、エリックに危害を加えるつもりはなさそうなので、Aは彼女に付くことにした。
「分かりました」
「いいねェ、ジョーより物分りの早いこと早いこと。ジョー、後で片付け手伝ってやんな」
「･･･はァい分かりましたァ」
前の点３つに物凄い文句が込められていそうだったが、エイトフットは結局手伝うこととなった。
.。o○
「♪半月の夜 欠けたのは」
Aは食器を拭きながら、小さく歌った。
「まだ続きあんのか、それ」
「此処から先はちょっと暗いから、王子が発狂するかもと思って」
すると、エイトフットは手をくねくねと振って戸棚を閉めた。
「俺は、歌、嫌いだ」
その手の動きにピンときて、Aは水道の栓をキュッと閉めた。
「タコ!」
「はァ?」
「海!タコ!そういうことか!」
「何なんだお前その、1言っただけで10理解するみたいな物分りの良さは」
「物分りの良さは頭の良さ、ってね。あ、意味分かる?」
「うっせ」
エイトフットはソーサーを手に取り、ため息をついた。
「♪半月の夜欠けたのは 僕の心か黒真珠 君の心か白真珠♪」
「･･･陸って、わけわかんねェな」
その時、共同台所のドアに、重いものがぶつかる音がした。
Aが”やっちまった”と呟いてドアを開けると、下働きの女性が二人、泣き崩れていた。
「「陸って、面倒くさいなァ」」
Aとエイトフットは、二人同時にため息をついた。
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ユラ(プロフ) - 山茶花さん» ありがとうございます!レス&更新滅茶苦茶遅くってスミマセン･･･ (2017年4月3日 11時) (
レス) id: ac02456d2d (このIDを非表示/違反報告)
山茶花 - ユラさんのエイトフット好きです!頑張って! (2017年3月24日 11時) (レス) id: 33105e2b3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユラ | 作成日時：2017年2月21日 17時
