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エイトフットは、ヴァネッサ――人間になり、アリエルにばれない様にアースラが名を変えた――を探していた。ヴァネッサのほうが一足先に陸に出たのだ。
エイトフットがアースラから聞いたヴァネッサの特徴は、3つ。
”私は黒髪だ。今と変わらない美しさで、あの娘の声を持ってるからね”
美しさのくだりについてはエイトフットは信じないつもりだった。そんなこと本人の前では口が裂けても言えないが。
その時、どこからか、歌声が聞こえてきた。
エイトフットは急いで声の出処を突き止めた。向こうの岩場に、若い女が一人で座っている。
髪は夜闇のように黒く、不気味な歌でありながらも美しい歌声だ。
エイトフットは足を早めた。アースラのことだから、早く見つけないと仕事を増やされてしまう。
「ヴァネッサ様･･･ですか?」
娘は振り向いて、怪訝そうに眉をひそめた。
「人違い。私はヴァネッサじゃない」
よく見れば、巻貝のペンダントを下げていない。エイトフットは隠すことなく舌打ちした。
「君、一体何者?私の歌を聞いてたのになんともないんだね?」
「歌は歌だろ･･･お前の歌を聞いちまったらどうなるってんだよ」
「気が狂う」
娘は皮肉っぽく笑って答えた。
「そりゃどうも。ココらへんでお前、若い黒髪の女を見なかったか?」
「私とアンタ以外ここには来てない。その人がヴァネッサって人?」
「関係ねぇ。忘れろ」
無駄に話は広められない。そう思い、エイトフットは手をひらひら振ってこたえた。
「黒髪の女の人なんて沢山いるのにそれだけで探すわけ?」
「忘れろってば」
「じゃ勝手にしな。バイバイ人外君」
ああ、陸も海も面倒臭い。海に引きずり込んでやろうか。
しかし、エイトフットは気づいた。
「何故人外だと?」
「まだいるの?」
娘はわざとらしく開きかけた本を閉じた。
「俺が質問してんだよ」
「別に。さっき言ったように、私がこの歌を歌ったのを聞いて、気が狂わなかったのはアンタ以外まだいない」
「つまり?」
「う〜ん･･･私の歌には魔力がある、的な?」
意外と使えるかもしれない。
「驚くところよ」
「びっくりー」
娘は頭を振って、エイトフットのセリフを振り払った。
「お前、名前は?」
「A。アンタは?」
「俺は、エイトフットのジョー。悩みができたら、海に飛び込め」
「はいはい。さっさと行かないとヴァネッサ様見つかんないよ」
この出会いは、偶然か、必然か。
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ユラ(プロフ) - 山茶花さん» ありがとうございます!レス&更新滅茶苦茶遅くってスミマセン･･･ (2017年4月3日 11時) (
レス) id: ac02456d2d (このIDを非表示/違反報告)
山茶花 - ユラさんのエイトフット好きです!頑張って! (2017年3月24日 11時) (レス) id: 33105e2b3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユラ | 作成日時：2017年2月21日 17時
