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Aが、激しく揺れる船の上でなんとか近くへ寄ろうとしたときだった。
何時からそこに現れたか、船に戻ったエリックが舵を切り、アースラの身体に舳先を突き刺したのだ。
叫び声と轟音が嵐の音をかき消すように響き渡った。
のたうち回るアースラによって起きた荒波が船の後ろに体当りし、ずぶ濡れの二人を海へ引きずりこもうとする。
「A･･･?」
「ゴメン、もう手が･･･思い通りに･･･」
「ほら、掴め」
彼女は濡れた甲板で滑りそうになりながらも、エイトフットの手を掴む。
そのままエイトフットは氷のように冷たくなった手をを引き寄せた。
「･･･何でそこまでするのさ?･･･私なんかより、アースラ様のほうが大変･･･」
断末魔の叫び声は響き続け、稲妻も轟音も嵐も、全てを凍らせようとするかのようだ。
「･･･そりゃァーーー」
寒さに震えるAを、エイトフットはそっと抱き寄せる。
そしてそのまま、彼女の青くなった唇と、自分のそれと重ねた。
彼女の唇は、まだ手よりもほんのり暖かく、浴び続けた海水のせいで塩辛かった。
「俺が、お前をーーー」
ズバァァーンッ
波が、諦めずにしつこく狙い続けた獲物を遂に捕らえ、エイトフットの腕からもぎ取った。
彼女は船から投げ飛ばされ、空中に投げ飛ばされる。
「Aッ!」
「ジョー･･･!」
慌てて伸ばした右手は虚しく宙を掴む。
嵐と叫び声でAが海に落ちた音さえ聞こえなかった。
ただ、白い水柱が、波間に伸びる。
「Aーッ!!!」
エイトフットは船の柵を飛び越え、彼女を追って海に飛び込んだ。
こうして、お姫様と王子様は幸せに暮らしました。~エイトフット視点~→←嵐
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ユラ(プロフ) - 山茶花さん» ありがとうございます!レス&更新滅茶苦茶遅くってスミマセン･･･ (2017年4月3日 11時) (
レス) id: ac02456d2d (このIDを非表示/違反報告)
山茶花 - ユラさんのエイトフット好きです!頑張って! (2017年3月24日 11時) (レス) id: 33105e2b3c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユラ | 作成日時：2017年2月21日 17時
