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本番5分前でーす
そんな声も聞き流し、外へ向かって足早に歩くこの隣の男についていく。
「あー、アビー」
「はい」
名前を呼ばれると、私はポケットからビニール袋を取り出しこの男に渡す。
そして彼が吐く。
吐瀉物入りの袋を結んで、近くのスタッフへと渡す。
足を止めずともこの一連の流れができるのは、慣れだ。
伊達に専属マネージャーやってない。
携帯の着信音が鳴った。
「ちょっと失礼、あ、そこのスタッフさん」
私は電話に出るために横へ移動し、別のスタッフを彼の隣に歩かせた。
「はい、こちらワトソンです」
『デリーのマイクだ』
「えーっと、失礼。名字は？」
『ハンロン、マイク・ハンロンだ』
何か衝撃が走ったような感覚に囚われた。
「あぁ、マイクね！お久しぶり。その……ごめんなさい、すっかり記憶が無くって」
『ああ、無理もないさ。突然申し訳ない。アビー、あいつが帰ってきた』
「あいつ……」
『詳しいことはメールで送る。きっと皆戻ってくるから、君も来てくれるか』
「ええ……分かったわ……」
息が苦しくなる。
急いで外へと向かう。
「あいつが帰ってきたって……」
「ああ、ものすごく気持ちが悪い」
どうやら彼の元にも電話が届いたようだ。
「とりあえず、戻りましょう」
「あと本番30秒前です！！」
合図がかかった。
「ああっ、そっちじゃないでしょ！」
気が動転しているのか、変な方向へ向かうこの男を引き止め、正しい方向に連れ出す。
「いい？今は目の前のショーだけに集中して。後で考えましょう」
「ああ……」
顔は青く、気分は晴れないようだ。
5！4！3！2！1！とカウントダウンがかかり、彼を舞台へ送り出す。
そう、今までずっと一緒に歩いていたこの男こそ人気コメディアン、リッチー・トージアなのだ。
最初のちょっとしたトークが、今日は幾分か彼らしくない。
「はあ、集中しろって言ったのに……」
一人ため息を漏らしても、気分が楽になることは無かった。
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nina - こっぺぱんさん» コメントありがとうございます！こちらこそ、見つけていただいてとても嬉しいです！ありがとうございますm(_ _)m (2019年12月5日 22時) (
レス) id: c7e7eeb6b1 (このIDを非表示/違反報告)
こっぺぱん(プロフ) - Chapter2を探してやっと見つけました！！ほんと感謝しかないです！！！！これからも応援してます！！！！ (2019年12月5日 22時) (レス) id: f790a447d6 (このIDを非表示/違反報告)
nina - Lucyさん» コメントありがとうございます！無いなら作ってしまえ！っていう感じで作りました笑 (2019年12月4日 1時) (レス) id: c7e7eeb6b1 (このIDを非表示/違反報告)
Lucy(プロフ) - chapter2 の小説はなかなか無かったのですごいうれしいです！更新応援してます！ (2019年12月4日 0時) (レス) id: 0de2da8ead (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nina | 作成日時：2019年12月3日 23時
