7 ページ7
.
「はい、三橋くん。お弁当」
「いらねえよ。オイ佐川、弁当」
「俺作ってきてないっすよ」
「はあ!?」
三橋くんの早弁時間になり、私にとってはいつもの様に、朝5時に起きて作ってきたお弁当を渡す。
だけど、今の三橋くんにとっては自分のお弁当は佐川くんが作ってきたものになってるらしい。
「三橋さんの弁当はAさんが作ってたんすよ!」
「ってことで、早弁したかったらこのお弁当を食べるしかないの。さあ、食べて」
「お前の食うくらいだったら食わねーよ」
「本音言うと三橋くんの意見とかどうでもいいから食べて」
思い出の味を食べたら何か思い出すかもしれないでしょ。と言いたかったけど、また面倒臭くなりそうだったんで省略。
驚きながらも私からお弁当を受け取って、箸を手に持ち、卵焼きを口に運んだ。
初めて三橋くんにお弁当を作ってきた時、彼はなんて言ったんだっけ。
そういえば、あの時も初めて手をつけたのは卵焼きだった。
食べたあと、三橋くんは
「意外にうめー。クッソ不味いの想像したけどな」
驚きで少し声が漏れそうになった。
そうだ、三橋くんは初めて食べた時も同じことを言ってた。
それを聞いて、やっぱり三橋くんは三橋くんなんだって。記憶なくても変わらないんだって。
「なに泣いてんだよ」
「……泣いてないよぉっ、」
あまりにも嬉しくて、嬉しくて。涙が溢れてきた。何回拭いても全然とまってくれなくて、三橋くんにこんなみっともない姿を見せたくないのに、ぽたぽた落ちてくる。
制服の袖の色が変わるまで泣きやめなかった。
思い出の味作戦、少しだけ成功?
.
116人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミカ(プロフ) - 美彩さん» 初めまして!ありがとうございます、更新は遅いですが頑張ります! (2019年8月2日 23時) (レス) id: 2be407660d (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 枕崎さん» そのお言葉だけで嬉しいです。まさか自分の作品を読んでくださってる方の中にこんなにも優しい人がいるとは思いませんでした、ありがとうございます。ゆっくりとなりますが、また更新をお楽しみにしていただけると嬉しいです! (2019年8月2日 23時) (レス) id: 2be407660d (このIDを非表示/違反報告)
美彩 - 続きがすごく楽しみです!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年8月2日 7時) (レス) id: c78fd194e0 (このIDを非表示/違反報告)
枕崎(プロフ) - 謝らないでください。まず更新して頂けることが私からすると嬉しいことなのです。作者様のペースで無理のない程度でお願い致します。私こそこんなコメントで頑張ろうだなんて思っていただけるのは幸いです。これからも応援しています。 (2019年7月29日 5時) (レス) id: 8e8712b35b (このIDを非表示/違反報告)
ミカ(プロフ) - 枕崎さん» 初めまして!更新が遅くてすみません。そして素敵なお言葉をありがとうございます!そんな風に言っていただけると頑張ろうと気力が湧いてきます!また遅くなりますがちまちまと更新していくのでよろしくお願いします! (2019年7月28日 14時) (レス) id: 2be407660d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ミカ | 作成日時:2019年2月27日 0時