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諍い ページ7

蕨姫花魁「さっさと部屋を片付けな!」


日の当たらない北の一室で、蕨姫の怒鳴り声が響いた。


彼女に怒鳴りつけられた少女は震えている。


少女は蕨姫花魁の禿だが、まだ禿になったばかりで失敗も多かった。


遊女「わ、蕨姫花魁。まだ幼い子だから、そんなに怒らないであげて下さい…」


側にいた遊女の一人が震える声で禿を庇う。


しかし、その言葉も蕨姫の怒りを倍増させるだけだった。


蕨姫は怒りを露わにし遊女の髪を掴んだ。


遊女「きゃあ!!」


遊女は悲鳴を上げて許しを乞う。


遊女「お、お許しください!蕨姫花魁!!」


蕨姫花魁「アンタみたいな不細工がアタシに指図するんじゃないよ!!」


蕨姫は遊女を睨みながら激しく揺さぶった。


怒りの矛先は禿から、禿を庇った遊女へと向かった。


パン!!


遊女を揺さぶるのをやめた蕨姫は間髪入れずに彼女の頬を平手打ちした。


バチン!!


二度目の平手打ちはさっきのよりも威力が強く、遊女は頰を抑えて蹲る。


痛みのあまり遊女の目には涙が滲んでいた。






お三津「蕨姫!!」


その時、騒ぎを聞きつけた女将のお三津が飛び込んできた。


その後ろには数人の遊女の姿もある。


整理されていない部屋、恐怖に震える禿、乱れた髪をそっちのけにし頰を抑えた遊女の姿。


それらを目にしたお三津は蕨姫の荒ぶる心を落ち着かせようとする。


お三津「蕨姫。この子達には私が叱っておくから、落ち着いておくれ」


宥めるような優しい口調でお三津は語りかけた。


すると、蕨姫は笑みを取り繕う。


お客様をお迎えするときの艶やかな笑みだ。


唇を横に少し広げた透明な感じの笑顔だ。


荒々しい性格を感じさせない笑みを浮かべる姿は、花魁の鑑のようだと誰もが感じるだろう。


蕨姫花魁「すぐに怒ってしまってごめんなさいね、女将さん」


お三津「ほら、あんた達は部屋を片付けなさい」


お三津が急かすように遊女達に言うと、遊女達は急いで整理をしていく。


蕨姫花魁とお三津はその場を去っていった。








遊女「女将さんはいつも蕨姫花魁の味方をするわね」


二人の姿が見えなくなった頃、一人の遊女が不満気に吐き捨てた。


遊女「本当にそうよね。なんであんな花魁を味方するのかしら」


遊女達は蕨姫に対する日頃の文句を言いながら片付けをした。

血→←どうでもいいの



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桜餅🍎🍡🐾🐼 - 初コメですが、ずっと読ませて貰ってました!予想外の結末でしたが、凄く面白くて、自分の中でも色々想像してしまいました(〃ω〃) (3月28日 23時) (レス) @page37 id: ad99f89c7d (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - 完結お疲れ様でした、主人公さんが幸せになれて本当に良かったです…!素敵な作品をありがとうございました。 (3月26日 22時) (レス) id: df107beb4b (このIDを非表示/違反報告)
はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (3月20日 13時) (レス) @page29 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
Yuuna - がんばってください!! (11月25日 18時) (レス) id: 41e2acbfbe (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すき。、。 (11月23日 10時) (レス) @page28 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しいな | 作成日時:2023年2月26日 19時

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