蕨姫花魁のお気に入りの遊女は……

消えた善子と二人の少女？ ページ18

「ねぇ聞いた？善子ちゃんが足抜けしたんですって」


「ええっ？善子ちゃんが？」


早朝から聞こえる噂話。


それにAは内心首を傾げた。


足抜け？そんな事をする子には見えなかったけれど…。


少し不思議に思ったものの、すぐに興味は失せAは仕事へと戻った。


遊女達も善子の事は気にしながらも、仕事に戻る。


そして、太陽が西に傾き始める頃。


Aは楼主に言われ、お店の前を箒で掃き始めた。


その時だった。


屋根の上から話しかけられたのである。


？「あれ？カナヲ？」


"カナヲ"


その名前をAは知っている。


善子がAの顔を見て、その名を呟いていた。


Aは声の聞こえた方を見上げた。


そこには碧玉色の瞳をした女の子と額に痣のある女の子？がいた。


？「カナヲ…じゃない？」


？「おい権八郎。そいつ、しのぶの子分に似てねぇか?」


二人の女の子…と思しき者達はAの顔を見て不思議そうな顔をした。

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