【メディチ】ある奔放な絵師の話【ギルド手配書絵師】 ページ9
『…納得いかない』
「おやおや、またですか」
闇質屋店内の奥、瀟洒(しょうしゃ)な椅子に座った主が呆れたように息を吐く。
呆れたように、笑いながら。
私は鼻を鳴らして筆を放り捨てた。
『大体さ、絵ぇ描いてほしいっつーんならもっと資料持ってこいや』
描きかけだった幻獣手配書の原案を盛大に破く。
それだけでは飽き足らず、細かく千切った。
紙吹雪のように撒き散らしたタイミングで…闇質屋店員、カムリに見つかってしまった。
「あっ、Aさん！ 捨てるのはいいけど汚さないでよ」
『メディチが拾ってくれるよ』
「なんでボクが拾うと思ったんですか」
確かにメディチは指ひとつ動かしそうにない。
しぶしぶ自分で拾った。
なんだかんだ言いつつカムリも一緒に拾ってくれる。
なんて良い子…！
『私はむしろカムリの絵を描きたい』
「オレの？」
『部屋の一番よく見える位置に飾っておこうかと』
「やめてよ気持ち悪い」
スパッと言い切ったカムリは、しかし私の分まで紙切れをまとめて捨ててくれた。
嬉しくなってカムリの頭をなでなでするとその手を払われる。
素直じゃないなあ、もう！
眺めていたらしいメディチが口を開いた。
「Aが描いてくれるなら、ボクは喜んでモデルになりますよ？」
『えー、カムリがいいの』
「つれないですねぇ…」
ようやく立ち上がったメディチが、帽子掛けからシルクハットを取り上げる。
「では、Aの為にもう少し新しい情報を探ってきましょうか」
行きますよ、カムリ。
そう言って歩き出したメディチは、私の前で足を止め自然に口づけを落としてきた。
一度離れたそれを再びこちらから追いかけ、チュ、と軽いリップ音を鳴らす。
『行ってらっしゃい』
「ええ、行ってきます」
「部屋散らかさないでね、Aさん」
悠然と店を出る二人を見送ってから、私は手元の新しい紙に目線を戻した。
ちょっと考えて、真っ白いそれに細筆を走らせていく。
椅子に座る、メディチの姿。
ゆるく波打つ髪、伏せた睫毛、涼やかな目元、薄い唇、蠱惑的な笑み。
『見なくても描けるっつの』
完成した絵に満足し、一人で笑う。
愛しいメディチの肖像画に、私は唇を寄せた。
2014.04.14.(7時頃)
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満月もなか(プロフ) - ミドリさん» こんな兄貴が欲しい（*´∀`*）原作での再登場が待ち遠しいですｗ (2014年4月6日 5時) (
レス) id: 4ee75b096c (このIDを非表示/違反報告)
ミドリ(プロフ) - 満月もなかさん» フー!!( ☆∀☆)かっきょいいゼ兄貴 (2014年4月5日 10時) (レス) id: bbb6656106 (このIDを非表示/違反報告)
満月もなか(プロフ) - ミドリさん» 兄貴は絶対悪いこと本気で止めてくれるタイプですよね…！きゃー兄貴かっこいい！！(*´∀`*) (2014年4月5日 7時) (レス) id: 4ee75b096c (このIDを非表示/違反報告)
ミドリ(プロフ) - 満月もなかさん» いえいえ!兄貴がやさしぃよ!!(*´∀｀)きゃー!!かっきょいい!!( ☆∀☆) (2014年4月3日 21時) (レス) id: bbb6656106 (このIDを非表示/違反報告)
満月もなか(プロフ) - ミドリさん» そうなんですよミラの夢書きたくて！一般市民な男夢主だったんですけど名前変換を入れる場所がなかったｗ ふおぉ嬉しいお言葉ありがとうございます！(*´∀`) (2014年4月3日 4時) (携帯から) (レス) id: 86c3fb12ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：満月もなか | 作成日時：2014年4月1日 13時
